第84話「ブリリアンス・ギルドの日」
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強張った表情をしてしまうのは、仕方がなかった。
5分が経過した。遂に、である。演説が始まったことが報告される。
「モニターに映します」
ブリッジのモニターに、ギルド長の姿が映し出された。
誰もが固唾を飲み、見守っていた。上に立ち率いる者としての威厳が、確かにあったのだ。画面越しにも関わらず、ギルド長の重圧に襲われたシエラは身震いしてしまう。
ギルド長の口が開く。遂に演説が始まるのだ。落ち着いた声のトーンで、演説が開始された。
『―――諸君、地球は今まさに、ガトランティスによって滅亡の危機に晒されている。ガトランティスは白色彗星に擬態した木星規模の人工天体と共に、宇宙中を駆け抜けては星々を席巻し、他文明を圧し根絶する存在。…次なるその対象は、私の故郷―――地球だ』
まさに悲劇で、しかし真実だ。現在進行系で【対象】に選ばれた地球は、ガトランティスによって滅亡の危機の中にあった。
『―――地球は滅亡の渦の中へと飲み込まれ、消え去ってしまう。侵略者であるガトランティスは気にもしない。…まるで、いや、もはや荒らしだ!』
彼女の演説は、嘆きから怒りに変わった。
『なぜ地球が、涙を流さなけれならない?!ふざけるな!!』
身振り手振りを交えつつ、更には次第に熱を帯び、語気を強くする演説。
この姿は、感情的な一面を与え、聞く者の心を完璧に支配した。
そして、彼女は両腕を前に大きく広げ、宣言する。
『我々は大攻勢に転じる!ブリリアンスはガトランティスに対し、【対荒らし殲滅プロトコル】を発動することを、ここに宣言する!!』
その言葉と共に、歓喜の声が広がった。
ギルド長を称える声があちこちと発生し、熱気と大歓声が止まらない。
涙を流し、喜ぶ者もいれば、雄叫びをし、戦いを待ち望む者もいた。
次の瞬間、我へと素早く帰ると己の職務に戻った。
遥か上空に位置するブリリアンス軍にとって、総統のそれは出撃の合図だった。
「全艦ワープ航法に移行を開始」
ブリッジでは、座標計算が行われ始めていた。
「ドライブ正常に稼働中」
「30秒後に全艦ワープします」
下士官達の報告でブリッジはいっぱいだ。
準備は整った。
『空を見上げて欲しい!栄光あるブリリアンスの大艦隊が、地球を滅亡せんとする荒らしガトランティスを駆逐する姿を!!』
「ワープ!」
軌道上の大艦隊は、防衛艦隊を除き、皆ワープしてゆく。ブリリアンス・ギルドの大艦隊は、地球を救う為に戦場へと旅立った。
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