第83話「土星沖海戦」パート4
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一部始終を垣間見ていた山南は『シグナル・ロスト』となっている砂嵐状態の映像通信スクリーンから目線を落とし、力なく首を垂れた。
司令官として屈辱的な敗北を喫した事もそうだが一番はやはり、親友の安田を失った喪失感だった。
艦長席の肘掛けに置いていた掌を強く握りしめる山南は、何も声を発する事も出来ず、ただ、ただ、残存艦隊が離脱するのを待つばかりだ。
だがいつまでも落ち込んでいる訳にはいかない。そう無理やり気持ちを入れ替えた山南。兎も角は機関部の応急修理を行う必要がある。
「機関部の応急修理作業を開始。手の空いている者は、最優先に機関部を修復せよ!」
艦内クルーに機関部の修復を急がせる。〈アンドロメダ〉は被弾の影響があったにせよ、一応は自力で航行が可能な状態だ。
しかし、だ。
ワープが出来ず、あまつさえ戦闘用に使うエネルギーすら余裕が無い状況。現時点では、四基の補助機関からエネルギーを回しており、戦闘不可能にしろ生命維持装置は継続して稼働している事は、安堵の息を漏らす一同であった。
だが、これでは総旗艦として機能することは不可能だ。最悪の場合、〈アンドロメダ〉を乗り捨てる事も可能性としては濃厚気味であったがこの宙域での退艦は望ましくない。退艦途中に狙われたら元も子も無い。
どうするべきか、と頭を悩ませる山南であったが副官から提案を受ける。
内容としては両舷にドレッドノート級を重力アンカーによって接触そして接続し、推進機関代わりとすることで地球圏まで離脱、時間断層にて修理すること。
山南は提案を承諾。副官は復唱した。
この戦いで戦力を大きく削がれた地球・ミドガルド軍。未だ膨大な戦闘艦艇を保有するガトランティスに抗う術は無いだろう。
だが、地球連邦政府は徹底抗戦を選r…いや確実に選ぶ。何故なら負ければ全てを破壊されるのだから。
しばらくすると新たな連絡が〈アンドロメダ〉に入ってきた。
「司令部より緊急電です。我が軍とガミラス軍、ミドガルド軍の増援部隊が急行中!」
「増援……今、ここに来たところで、巻き返せる筈がない」
まずガミラス軍の主力はクリピテラ級、ケルカピア級、デストリア級といった中小艦艇であり、戦艦クラスは少数だ。
戦艦クラスは主に艦隊旗艦として運用する事の方が多い。あのカラクルム級と対抗することを考えるのであれば、ゼルグート級やハイゼラード級、メルトリア級が必要だ。或は、実弾兵器の集中使用ならば、ガイデロール級を旗艦とし快速性に勝る中小艦艇でも対抗の余地ありと考えられる。
ブリリアンス軍であるが…正直なところブリリアンスはかなり謎で、そしてガミラス以上に警戒しなくてはならない存在だ。
アルポ銀河
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