第二部
第一話
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目の下にはクマがすっかり出来あがっており、彼女がどれだけ無茶をしているかを物語っている。そんな彼女を見守るかのように、部屋の外からある人物が彼女を見ていた。
「妖夢、幽々子さんは……まだ寝てるか」
「俊司さん……」
俊司は部屋に入ると妖夢の横に座り幽々子の顔を見る。
「妖夢いったん寝てこいよ。もう3日も寝てないだろ?」
「私は大丈夫です。幽々子様のほうがもっとつらい思いをされてたはず……」
彼女の気持ちはわからないわけでもないが、このままにさせておく訳にはいかない。ここに来る前に文から話を聞いていたのだが、妖夢は妖怪の山にいた時も睡眠時間をかなり削っていたらしい。そうなるといずれ彼女が倒れることは目に見えていた。
とりあえず何とかしようとする俊司だが、何を言っても妖夢は動こうとはしない。無理やり連れて行くわけにもいかず途方に暮れる俊司だったが、ふと何を思ったのか懐から手帳を取り出した。
「そうだな……じゃあ寝ろなんて言わないから、ちょっとの間目をつむってくれないか?」
「……なんでですか?」
「目をつむっただけでも疲れが取れるって聞いたことがあってさ。それぐらいいいだろ?」
そう言われて少し考え込んでいた妖夢だったが、軽く息を吐くと小声で「それくらいなら」と答えた。
その後通り静かに目をつむる妖夢。俊司は軽く溜息をつくと手帳をポケットにしまい、何かを待つように天井を眺め始めた。
数十分後、あれだけ眠たくないと言っていた妖夢は、座ったまま器用に眠っていた。
「……はぁ、やっと寝たか」
俊司は妖夢に目をつむらせることで彼女の眠気を誘い眠らせたのである。彼女なら眠気ごときで寝ようとはしないだろうが、やはり疲労がたまっているのだろうか、体はいうことを聞こうとはしなかったようだ。
しばらく妖夢のかわりに幽々子の面倒を見ていた俊司だったが、ちょうど席を立とうとした瞬間、眠っていた妖夢がバランスを崩し、俊司の方に頭を乗せた。
「……おいおい。これでおきないとかどれだけ疲れてたんだよ」
そう言いながら妖夢を横にさせよう手をかけた瞬間、彼女はなぜかその手を止めるように手を載せてきた。一瞬起きたのかと思った俊司だったが、依然と寝息をたてているところから起きているわけではないだろう。
(どれだけ無理してたんだか……それに、なんかこんなこと前にもあったような……)
俊司はすぐそばで眠る妖夢の寝顔を見ながら、過去の思い出を思い出していた。
それは俊司が小学校5年の冬だった。
時刻は夜8時過ぎ。小学生はそろそろ眠りにつく時間帯だが、俊司はどうしてもジュースが飲みたいと親に頼みこみ、お金をもらって自宅近くの自動販売機へ行こうとしていた。
「っと、何飲もっかな……?」
少年は楽しそうに鼻歌を歌いながら
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