第二部
第一話
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何を言ってるんだと言わんばかりにキョトンとしていた。
「えっ? でもこいつ外来人……」
「説明はあとでするから、とにかく呼んできてもらえる? 急患なのよ」
紫はそう言って妖夢を前に呼ぶ。彼女の背中にはぐったりとしたままの幽々子の姿があった。
「わっ! すぐ呼んできます!!」
驚いた鈴仙は大急ぎで師匠を呼びに中へ向かった。
鈴仙が中に入ってから数分後、駆け足で戻ってきた彼女の背後には彼女の師匠らしき女性がついてきていた。白髪で長い髪の毛を一本の三つ編みにくくり上げており、紺と赤で作られたナース服のような服を着ている。
「こんな時に急患なんて珍しいのね? 何があったの?」
師匠の女性はぐったりとした幽々子を見てもいたって冷静だった。そこのところは医者でもあり師匠である彼女らしい対応だ。
「訳は後で話すわ。とにかく幽々子をよろしく」
「わかったわ。ところで君は……」
「あっ……」
彼女は俊司を見るなり不思議そうな顔をしていた。やはり彼女にとっても外来人は敵ということなのだろうか。
この後の状況を考えて少し肩を落とす俊司。しかし目の前の女性は意外な判断を下していた。
「外来人なんて珍しいのね? 革命軍じゃないってことは……味方なのね?」
彼女がそう言うと、俊司はびっくりしたように目を点にしていた。それにその反応をしているのは彼だけではないらしく、周囲にいたほとんどの人物がそんな反応をしている。永琳はそんな彼らの反応に溜息をついていた。
「物分かりがよくてなによりです……」
「君が敵ならここにいるわけないでしょ? あとでこの子のこともちゃんと教えてちょうだい」
女性は鈴仙に二・三回指示を出すとそのまま中へと入って行った。
妖怪の山での戦闘からはや三日がたった。
あれから永遠亭の住人にも事情を話し、俊司たちは新たに永遠亭を拠点とし行動することになった。妖怪の山へ襲撃が来たことから全体的に強化されたが、迷いの竹林があることもあり革命軍が進行しているといった形跡は全く見られず、俊司たちにとってつかの間の休息となっていた。
そんな中妖怪の山で現れた白玉楼の主『西行寺 幽々子』は依然として目をさますことなく、休息とは言えど気の抜けない状況が続いていた。永琳曰く危険な状況ではないし回復に向かっているとのことだが、疲労の関係で目覚めるのが遅れているかもしれないとのことだ。それでも俊司達の不安がはれることはなかった。
なかでも従者である妖夢は一番心配しているようだった。連日幽々子のそばでずっと見守っているのだが、ろくに食事や睡眠を取ろうともせず四六時中彼女のそばにいようとする。そんな彼女に何を言っても彼女は従おうとはしなかった。
「幽々子様……」
この日も妖夢は幽々子のそばで彼女を見守っていた。
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