当て
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いた。
「大丈夫祐太? 何アイツ、変なことされてない?」
「落ち着いてくれよ。ほら、コウスケだって。俺の友達の」
「……誰?」
「加賀お前! またオレのこと忘れてるんじゃねえか!」
「……」
じっとコウスケの顔を見つめる加賀と呼ばれたこの女性。
綺麗な人だな、とハルトが感じていると、彼女はポンと手を叩いた。
「田中君!」
「前も同じ名前で間違ってなかったか!?」
「泥棒猫の名前なんてどうでもいいのよ!」
ぎゅっと祐太を抱きしめ、加賀は「シャーッ!」と猫のようにコウスケを威嚇する。
「ど、泥棒猫だァ!? オレは男だぞ!」
「どうかしらね!? いい? 祐太は大学を卒業したら一流商社で部長へ昇進して、年に十二回は海外旅行へ行って、月に四回は一族総出でパーティを開いて、お爺ちゃんおばあちゃんになったら軽井沢で穏やかに過ごすのよ!」
「何かいきなり俺の人生プランまで練られてるんですけど!?」
「……あの人、お手軽修羅場製造機かな」
ハルトはそう呟くと、席を立つ。
「そんな祐太の人生を邪魔するあなたは……つまるところ、私の敵!」
「じゃねえよ! なんで男のオレが! なあ、ハルト! お前もあの女を止めてくれよ!」
「ハイハイ。食堂の皆さんに迷惑だからその辺にしようね」
ハルトは手を叩きながら、コウスケと加賀の間に割って入る。
「ええと、加賀さん、だったっけ? 驚かせてごめんね。その……祐太さんには、色々道案内してもらいたくて」
「そんなの、地図でも貰って貴方たちで勝手に行けばいいじゃない」
「折角ダチと目的地が一緒なんだ。一緒に行ってもいいだろ」
コウスケが口を尖らせる。
加賀はきっとコウスケを睨み、噛みつきそうになるが、その前にハルトが切り出す。
「えっと、コウスケがごめんなさい。でも、俺たちが会いたい人を知っているのが祐太さんだけなんだ。加賀さんが思うようなことは誓ってないから」
「……どうだか。こんなに可愛い祐太を狙う可能性だって大いにあるわ」
「ねえよ!」
コウスケのツッコミを無視し、加賀はハルトに対して鼻を鳴らした。
「まあいいわ。祐太を貸してあげる。その代わり、私も付いて行くから」
「付いて行くって、香子さんこの後講義なかった?」
「祐太の貞操の方が大事よ」
「だから男同士だって言ってんだろ!」
聖杯戦争の参加者探しなのに、結局二人を巻き込んでしまった。
こうなると、花園ゆりねが外れであることを祈ろうと、ハルトは思った。
「アイツ、何でそんなに花園に会いたいんだ?」
食堂を出る時。
そんな祐太の疑問の声へ、どうやって言い訳しようかハルトは逡巡し始めるのだった。
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