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ドリトル先生と奇麗な薔薇達
第九幕その十一
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「特にね」
「欧州はそうでね」
「イギリスもだってことだね」
「けれど薔薇戦争の頃は」
「かなり極端だね」
「それで、ですよ」 
 トミーが少し苦笑いで先生に言ってきました、朝ご飯の後片付けを終えてそのうえで一休みに居間に来たのです。
「日本の友達がぼやいていました」
「薔薇戦争の頃の血縁関係についてだね」
「イングランドの王室の」
「本当に凄いからね」 
 先生はトミーにも言いました。
「入り混じっていて」
「もう滅茶苦茶ですよね」
「系譜を頭に入れるだけでもね」
「大変ですよね」
「どの陣営で何をしたかまで」
「それも陣営を変えたりする人もいて」
 こうしたこともあってというのです。
「おいそれとはです」
「わかりにくいね」
「その友達が言うには」 
 トミーは笑ってこうも言いました。
「巨人の監督やコーチにたいに」
「あの万年最下位のプロ野球チームだね」
「悪いことばかりしている」
「あのチームみたいになんだ」
「巨人って伝統ばかり言いますよね」
「うん、あのチームはね」
 先生も確かにと頷きます。
「それでしがらみばかり多いよ」
「変なならわしばかりですね」
「封建時代みたいなね」
「それでコーチ生え抜きの人が主流で」
 そうであってというのです。
「監督は特にそうですね」
「生え抜きのスター選手でないとね」
「監督になれないですね」
「今はもうチーム生え抜きで主力だった」
「それだけで選びますね」
「スター選手がいなくなったからね」
 今の巨人にはというのです。
「そうなっているよ」
「そうですよね」
「ああ、巨人みたいに生え抜きばかりなら」 
 そうした人だけを監督にするならというのです。
「確かにわかりやすいね」
「複雑じゃないですね」
「その分監督さんになれる人が限られて」
「相応しい人が監督になれないですね」
「そのこともあってだよ」 
 そのせいでというのです。
「巨人はね」
「弱いんですね」
「そうだよ、けれど覚えやすいのは確かだね」
「そうですよね」
「血縁関係もね」
「ああしてすっきりしていたら」
「わかりやすいね、せめてね」 
 先生はこうも言いました。
「日本の戦国時代位だとね」
「わかりやすいですね」
「例えば武田信玄さんと北条氏康さんと今川義元さんの」
「同盟を結んで」
「そして三つのお家それぞれで婚姻政策を結んだね」
 このことを言うのでした。
「信玄さんの娘さんが氏康さんの息子さんに嫁いで」
「氏康さんの娘さんが義元さんの息子さんに嫁いで」
「義元さんの娘さんが信玄さんの息子さんに嫁いで」
「三角になりましたね」
「これ位ならね」
 それならというのでした。
「わかりやすいね」

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