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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第217話:巡り合う策謀
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はいないのは、真実を聞けばミラアルクが激昂して自分を殴って来るだろう事を見越して密かに錬金術で肉体をアリスが強化していたからだ。
「本当に、申し訳なく思っています。私がこんな技術を生み出さなければ、あなたも、あなたのお仲間もこんな事にならずに済んだ」
「その程度で済むと思ってるのかよッ!? お前が、お前が居たからアタシ達はこんな目に……!?」
ある意味で仇でもあるアリスを前に、ミラアルクは激昂しながらも涙を流していた。自分の中で暴れ回る感情を抑えきれず、訳も分からず涙を流していたのだ。怒り、憎しみ、悲しみ、その他いろいろな感情が綯い交ぜになり、それが涙となって止め処なくミラアルクの目から零れ落ちる。
激昂しながら涙するミラアルクの姿に、アリスも胸が締め付けられる思いをしていた。目的があってのこととは言え、自分が生み出しそしてしっかり管理しなかった技術で不幸になった者が居る。自分の罪の重さを改めて再認識し、自己嫌悪に陥るがそれを堪えてアリスは贖罪の為の一歩を踏み出した。
「ですから、償いをさせて欲しいのです」
「償い?」
「そうです。あなたの体がそんな事になってしまったご術の大本を作り出したのは私です。つまり、基礎理論を私は隅々まで理解しています。であるならば、その逆の事も出来る筈……いえ、違いますね。出来る筈ではありません、やります」
強い決意を感じさせるアリスの言葉と視線に、ミラアルクも思わず気圧され後退りそうになる。それを気合で押さえながら、ミラアルクはアリスに詳細を訊ねた。
「どういう事だ?」
「私が、あなた達を元の人間としての体に戻して見せると言っているのです。私ならそれが出来ます……必ず!」
それはミラアルクに取って福音であり、甘美な誘惑であった。アリスの手に掛かれば彼女達は人間に戻れる。こんな望まぬ力を得る前の、人として当たり前の非力で自由な人生を取り戻せる。これ以上ワイズマンや訃堂の言いなりになる事もなく、失われた人としての生活に戻る事が出来る。
アリスの言葉にミラアルクは一も二もなくそれに飛びつこうとしたが、しかし今まで散々虐げられてきた彼女の心はそう簡単に他人を信じる事は出来なかった。どうしても裏切られ虐げられる恐怖から、アリスの事を疑ってしまう。
故に、ミラアルクは答えを口にする事を躊躇してしまった。そこには自分1人が一足先に人間に戻ってしまう事への後ろめたさもあったのかもしれない。どうせ人間に戻るのであれば、ヴァネッサとエルザも一緒に元に戻してもらいたい。
「いきなり信じろだなんて、そんなの無理な話だゼ。大体どうやってそれを信じろって?」
「……そうですね。仰る通りです。そう簡単に信じてもらえるとは思っていません。何より、先ずは色々と考える為の時間が必要でしょ
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