第79話「アベルト・デスラー」
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ガミロイドだけではなかった。通路に、ぼんやりと影が現れる。一つ2つとドンドンと数が増え、此処に向かってきていた。足音は聞こえなく、兵士とガミロイドではない。
やがて、その全貌が露わとなる。聖域に現れたのは、ガトランティスの自律兵器だった。飛行形態から戦闘形態へ変形し、聖域に侵入する。
その数は、20。ガミロイドより、半分ほど下の数である。
ダークネス卿と古代達は身構えるが、デスラーはそうしなかった。デスラーを守る、ガミロイドも同様だ。その銃口をガトランティスではなく、未だ彼らに向けている。
聖域に侵入してきた自律兵器―――ニードルスレイブは、ガミロイドと同じ行動をした。デスラーを守るよう、展開しているのだ。
その動きとニードルスレイブの色を見て、彼らは気づいた。―――ガミラス人が誇りにする、高貴なる青い肌と同じ色だった事に。
「……」
誰だったろう。息を飲んだのは。
誰だったろう。自分達の気持ちを代弁するかのように、誰かが呟いたのは。
―――ガトランティスと手を組んだのか。
あの時からそうだったのかもしれない。ガトランティスのミサイル戦艦にしか搭載されていない巨大ミサイルがワープし、〈ヤマト〉に攻撃を仕掛けたのも。古代アケーリアス文明の遺産の一つであろう円筒形構造物が存在する異空間で、余剰次元の爆縮―――デスラー砲を検知したのも。
全てが、そうだったのか。全てが、アベルト・デスラーによるものだったのか。ダークネス卿を除く面々は、そう思った時だった。
鉄仮面のキーマン中尉が、口を開いたのは。
「デスラー総統に伺いたい。貴方は、何の為に此処まで来られたのか?」
不敵な笑みから真顔へ一変させた、デスラー総統は射抜くような視線を向ける。
「貴様、誰か?」
それをものともしないキーマン中尉は、”偽りのない名”を告げた。
「我が名は―――ランハルト・デスラー」
ランハルト・デスラー。それが、キーマン中尉の本当の名前。何度目かわからない驚愕を、古代達は浮かべた。
しかし、名前を告げただけではない。そう、それで終わりではなかったのだ。言葉が紡がれる。そして、それを聞いた彼らは、絶句することになる。何故ならばそれは地球やブリリアンスは勿論、ガミラスですら限られた者しか知らない―――真実なのだから。
「デスラー総統に伺いたい。―――ガミラス星が滅ぶというのは、事実なのですか?」
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