暁 〜小説投稿サイト〜
現実世界は理不尽に満ちている!
第79話「アベルト・デスラー」
[1/2]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
 通路の奥の闇が形となる、人間。
 やがて、その姿の全貌が現れた。

 現れたのは、一人の男だ。赤い裏地の黒いマントを微風に靡かせ、整った金髪を有する青肌の貴人。ダークネス卿を筆頭としている者達が驚愕しているのは、男がただのガミラス人ではないからだ。
 いや、それは当然だ。しかし、それだけで驚愕している訳ではなかった。彼はあの時、死んだ筈だ。それが何故、五体満足な状態で生きている…。

 目を見開いている一同に、その男は不敵な笑みを浮かべる。

 「―――久しぶりだね、〈ヤマトの諸君〉」

 その男の正体は、アベルト・デスラー総統その人だった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 アベルト・デスラーという男について、語らねばなるまい。

 先ず内乱時代にあったガミラス星そのものを統一したのは、紛れもないデスラー。

 ガミラス帝国の前身であるガミラス公国時代に、公国統一を成し得たエーリク・ヴァム・デスラー大公が死亡したことにより内乱に突入。その長く続いたガミラス星の内乱時代を再び制したのが、デスラー一族の家系に生まれたアベルト・デスラーである。

 彼は英雄として、ガミラス臣民達からは絶大な支持を寄せられた。彼はガミラスの統一後に、「イスカンダル主義」を掲げ、数多もの国家を支配していった。 そんな中、いや少年時代よりデスラーは、イスカンダルの女王―――スターシャへ恋心を持っていた。が、鈍感な彼女には届くことはなかった。片想いである。
 デスラーはその片想いと共に、大マゼランと小マゼランを制覇。すると次は外の銀河系にも目を向けた。天の川銀河だ。彼女に振り向いて貰うために、軍を天の川銀河に投入したのである。

 「―――久しぶりだね、〈ヤマト〉の諸君」

 そんな彼は今こうして、目の前に立っている。古代達は、驚愕せずにはいられなかった。キーマン中尉でさえ、目を見開いている。
 あの時、亜空間ゲート内で待ち伏せし、〈ヤマト〉と交戦の末にデスラーは死んだ筈。最新鋭艦にしてガミラス版波動砲―――デスラー砲、を装備する〈デウスーラII世〉は爆沈した筈なのに…。

 アベルト・デスラーは、五体満足な状態で生きている。いったい、どういう…。驚愕していた、その時だった。
 デスラーの背後に、異変が起きた。自分達とデスラーが通ってきた通路に、ぼんやりと影が現れた。一つ二つとドンドンと数が増え、此処に向かってきていた。駆ける足音が聞こえることから、兵士かガミロイドのどちらかであろうことが伺えた。

 やがて、その全貌が露わとなる。現れたのは、ガミロイドだった。親衛隊塗装のそれはデスラーの周囲へ展開、防御態勢となり、その銃口をダークネス卿とキーマン中尉含む古代達に向けた。

 しかし、通路から現れたのは
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ