八十七 対話
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い、守り、戦った現在を思うと、過去の自分が恥ずかしく、いたたまれなくなる。
だからようやく言える。
今まで罪悪感からなかなか接触できずにいた波風ナル。
九尾の人柱力ではなく、娘の大事な友達へ。
「おまえは木ノ葉の里の波風ナルだ」
それでも自分達がやってきた行いは許されるものではないけれど、過去を清算しようと、己の罪に向き合い、その報いを受けようという心構えで、この時初めて、真正面からナルを見据える。
そんな秋道チョウザと山中いのいちに対し、ナルは動揺した。
「おっちゃん達…」
だって、かつては憎まれていた。恨まれていた。
他人からの目線や向けられる負の感情には慣れてきたナルは、自分を良く思っていない大人が誰なのかくらい、すぐ判断できた。
だからこそ、幼き頃に自分へ向けてきた視線とは真逆の、まっすぐに向けてくる目線に混乱する。
何故なら、その目線には昔のように、負の感情は一切雑じっていなかったから。
「オレってば…九尾の人柱力だってばよ…?」
「――なにを言ってる」
そこでようやっと、今まで静観していた奈良シカクは口を開く。
「九尾とか人柱力とか関係ない」
しかし、その顔は先ほどまでとは違って、やわらかなものだった。
昔、幼き頃のナルの心を開き、怖い印象であった大人の印象を溶かしてくれた、信頼できる大人の顔だった。
「俺達はおまえだからこそ…波風ナルという忍びを信じてる」
寸前とは打って変わって、いつもの調子になったシカクが、肩越しに振り返る。
「そうだろ?」といのいち・チョウザに話しかけるその顔を見て、昔馴染みのふたりはシカクの狙いを察して、苦笑いを浮かべた。
「だからおまえに任せる」
今やすっかり敵対する意志がない三人の様子に、戸惑いが隠せないナルは、次いでかけられた言葉に、眼を瞬かせる。
「おまえなりの考えがあってのことなんだろう」
瞳をパチクリさせていたナルは、やがて、じわじわとシカクの言いたいことがわかってきて、張りつめていた緊張を緩ませた。
「ペインを止めたのはおまえだ。おまえの好きにしたらいい」
ほっと心から安堵する。
幼き頃にお世話になり、つい先日も、シカマルの母であるヨシノに誘われ、奈良家へお邪魔していた。
仲良くしてくれた相手に急に嫌われたかと思って、ナルは本当は心から怖れていた。
大人は苦手だったけれど唯一親しくしてくれたシカクに敵意を向けられた時、困惑と恐怖と、そして哀しみを抱く。
同時に、自分を庇ったシカマルが傷ついた原因がナルにあるなら、憎まれるのも仕方がないと諦めがついてもいた。
だから、普段通りに接してくれるいつものシカクに戻って、彼女は心の
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