八十七 対話
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てゆくのを、チョウザは見た。
「オレだって…オレだって…ッ」
まるでおまえはペインを許せるのかとでもいうような非難を浴びせられ、悔しさと憤りが混ぜこぜになった感情を彼女は爆発させる。
「師を、里を、皆を、」
自来也の生存を未だに知らぬナルはたまらず、声を張り上げた。
ペイン天道から自分を庇ったシカマルの倒れ伏せた姿が思い返されて、涙声になる。
「めちゃくちゃにした奴なんか許せないってばよ…!」
だけど、それでも、けれど。
「でも…!それで怒りに任せて全部全部やっつけてしまえば…」
憎しみの連鎖。
ペイン天道がナルに答えを求めてきた問題。
大切なものを失う痛みは誰もが同じで、正義という名の復讐に誰もが駆り立てられる。
だから、ここでペインを殺してしまえば――――。
「それこそ、今度はオレ自身が第二のペインになっちまう」
「「違う」」
その瞬間、ナルは弾かれたように顔をあげた。
俯いていた時にはまともに見れなかったいのいちとチョウザの顔。
幼き頃は恐怖の対象であった大人の顔を、この時ナルは初めて、真正面から見た。
「おまえは木ノ葉の英雄だ」
遠い昔。
まだ波風ナルが木ノ葉の里で忌避されてきた頃。
彼女は里を一度壊滅状態にした九尾と同一視され、里人に嫌われていた。
そのうちのひとりだった秋道チョウザは、かつての己の考えを今この場で、心の底から否定する。
「ペインとは違う」
ミズキに唆され、禁術である封印の書の巻物を盗んだナルを、ろくでもない奴だと評した忍び達に賛成した過去の自分。
あの頃の自分を心底恥じ、悔い、そして今では彼女を心から誇りに思う。
ペイン六道から必死に里を守り、戦った英雄に対し、昔のように憎しみや恨みなど微塵もない。
むしろ、かつての自分が抱いてきた感情を否定し、罪悪感を抱いてきたチョウザは、ナルへ謝罪と感謝の気持ちを声音に乗せた。
「そうだ」
同じく、昔はナルに対して、良い印象をあまり抱けなかった山中いのいちも、過去の自分を否定する。
自分の大事な娘が仲良くしている相手が九尾の人柱力だと知った時には、昔は苦々しく思ったものだ。
さりげなくあまりナルと仲良くしないように娘に伝えても、昔から芯のある娘のいのはバッサリと、父親の言い分を真っ向から否定した。
『大事な友達をそんなふうに言わないで!ナルはとっても良い子で凄いんだからっ!』と、いのに怒られた過去を思い出しながら、父親は娘の正しさを思い知る。
(ああ、本当にお前の友達は凄いな…里を救ってしまうんだから)
昔は九尾と同一視され、里から忌避されてきた厄介者。
その子が必死に里を庇
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