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神の婚姻
第二章

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「この度は」
「そうだな」
「事実長く戦っても決着はついておらぬ」
「只双方の血が流れるだけ」
「無益なものになってきている」
 当事者達も考えこのことに気付いた。
「そしてそれぞれの世界に興味はない」
「あくまで境のことだ」
「境が定まりまた以後争うことがないなら」
「それもよしか」
「そうだな、ではそうしよう」
 主神は言った。
「テシュブ神の末の娘をイルルヤンカシュ神の妻としてだ」
「そしてだな」
「以後我等は争うことがない様にするな」
「そうしよう」
 こう話してだった。
 主神は他の神々と共に空と海の境を定めてだった。
 そうして双方の神々の縁組を進めた、程なくしてイルルヤンカシュはテシュブの末娘を妻に迎えてだった。
 彼等は縁戚となった、するとだった。
「娘から話を聞いているが」
「妻が話してくれているが」
「海も悪くない」
「空は思ったよりいい場所だ」
「そこにいる者達もな」
「特に悪くはないな」
 相互に理解しだしたのだった。
「境も定まったしな」
「もう争う理由はない」
「そうだな」
「以後は仲良くしたい」
「そうだ、争うよりもだ」
 主神もまさにと話した。
「仲裁が入りだ」
「そしてことを定め」
「また和解してか」
「お互いを知る」
「それが大事なのだな」
「戦よりもな」
 それを行うよりもというのだ。
「その方がいいのだ」
「そうだな」
「戦よりもいいな」
「戦も起こる」
 主神はこうも言った。
「起こる時はな」
「どうしてもな」
「そうなってしまうな」
「しかしだ」
 それでもというのだった。
「出来る限りな」
「そうはならない」
「そうすべきですな」
「話で、そして婚姻で収まるならな」
 それならばというのだ。
「それでよいな」
「はい、確かに」
「その通りです」
 テシュブもイルルヤンカシュもまさにと頷いた。
「いや、まことにです」
「我等もそのことがわかりました」
「それならよし、ではな」
「これからもですね」
「我等はですね」
「縁戚としてな」
 そのうえでというのだ。
「穏やかに過ごしていくのだ」
「空と海で」
「そうしていき」
「争うことなく」
「穏やかにですね」
「過ごしていくのだ」
 二柱の神々に話した、そして実際にだった。
 彼等は以後は縁戚同士として激しく争うことはなかった、空と海ははっきりと分かれ今もある。アナトリアに伝わる古い話であるがイルルヤンカシュがテシュブに殺された話もある、しかしここではこちらの話を紹介させてもらった。一人でも多くの人が読んでくれるなら幸いである。


神の婚姻   完


               2024・5・12
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