第二章
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「結婚するのか!?」
「大学生で?」
「そうなの、この人とね」
「どうもです」
丸眼鏡で大柄で丸々と太った黒髪を真ん中で分けた青年が二人に深々と頭を下げて挨拶をしてきた。場所は二人が麻里沙を育てつつ建てたマイホームのリビングだ。
「坂口元信です、日本語教師と英語の通訳をしています」
「大学の合コンで知り合ってね」
娘はそれでと話した。
「お付き合いして」
「結婚もか」
「考えているのね」
「とても真面目で優しくて穏やかな人なの」
娘は両親に彼の人柄のことも話した。
「だからね」
「それでか」
「結婚するのか」
「そうなの。この人のご両親には許可を貰ってるし」
「次は俺達か」
「じゃあまずは話そうね」
夫婦でこう言ってだった。
共にその彼と何度も会って話を聞いた、そして娘の言う通り真面目で優しく穏やかでかつおかしな趣味もなく浮気もしないとわかってだった。
娘に結婚を許した、この時娘は大学は夫となる彼と同居しつつも大学には真面目に通うと答えた、だがすぐに。
「休学するのか」
「そうするの」
「妊娠したから。出産と子育てが落ち着くまでね」
娘は二人に夫と共に家に来て話した。
「休学するわ」
「そうなんだな」
「それで子育てが終わってから」
「復学して卒業するわ」
「二人で育てます」
夫である元信も真面目に言ってきた。
「必ず」
「ああ、妊娠したことはいいことだしな」
「元気な赤ちゃん産んで育ててね。けれど」
ここでまずは亜寿沙が言った。
「出産は二十歳になるわね」
「そうよ」
娘は母にその通りだと答えた。
「このままいけばね」
「そうよね、あんた二十歳でお母さんになって」
「お母さん四十歳でお祖母ちゃんになるわね」
「そうね。四十でよ」
娘に少し苦笑いになって話した。
「お祖母ちゃんになるなんて」
「思わなかった?」
「全くね」
それこそというのだった。
「出産と子育ては若いうちにって思ってたけれど」
「それでもなのね」
「四十でお祖母ちゃんなんてね」
「そして俺もだな」
正治も言ってきた。
「四十でお祖父ちゃんか」
「二人共ね」
「麻里沙が国立大行って結婚したのも驚いたがな」
「まさか四十でなんてね、けれどね」
「ああ、それでもいいな」
「四十でお祖母ちゃんお祖父ちゃんになってもね」
「麻里沙が幸せになるならな」
夫婦で笑顔で話した、そうしてだった。
麻里沙が出産すると元信の両親と共に孫を抱いた、孫は男の子で元信そっくりだった。その孫を二人で抱いて笑顔になっていた。四十のその顔はまだまだ若くかつ幸せなものだった。
四十歳の祖母 完
2024・8・2
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