第96話 ヨシュアの過去
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」
「そんな……」
ヨシュアは手から爪が食い込んで血が流れるほど強く拳を握ってそう話す。
「僕も姉さんと一緒に逃げだしたけど直に追手に追いつかれた、そして僕を狙ってそいつは銃を撃った。死を覚悟した僕は目をつぶった、でも痛みは来なかった。目を開けたらそこには胸から血を流す姉さんが横たわっていたんだ」
「まさかヨシュアを庇って……」
「そして再び僕に銃を向けた男は駆け付けたレーヴェに斬られて死んだ。そして僕とレーヴェ以外の人は皆死んだんだ」
あたしも百日戦役の際にお母さんを失った、だからヨシュアの悲痛は痛いほどに分かるの……
「その後僕達は結社に拾われた、そして執行者になった僕とレーヴェは事件の真相を明かすべく調査した。そして悍ましい真実を知ったんだ」
「真実?」
「ハーメルを襲撃したのはエレボニア帝国のある将軍に雇われた猟兵だったんだ。そしてこのハーメルの壊滅があの百日戦役に繋がっていくんだ」
「あんですって……!?」
あたしは次から次へと頭の中に入ってくる情報にパンク寸前だった。
「ど、どういうことなの!?」
「その将軍は自らの地位を上げる為に戦争を起こしたかったんだ、そして目を付けたのがリベール王国だった。将軍はリベール王国の国境に最も近かったハーメルに猟兵を雇って住民を皆殺しにさせたんだ、リベールで使用されている銃弾や軍の旗などを偽装して如何にもリベールがやったと見せかけてね」
「そ、そんな……!」
「そしてエレボニアはこの件でリベールを攻め立てて開戦した、それが百日戦役の始まりだったんだ」
あたしは頭が真っ白になりそうだった。つまりお母さんが死ぬきっかけになったあの百日戦役はその将軍とかいう身勝手な奴のやった自作自演で起こったって事!?
「ゆ、許せない!そいつのせいで戦争が起こってお母さんは死んだって言うの!?こんなのあんまりだわ!人の命を何だと思ってるのよ!」
「僕もエステルと同じ思いだよ」
「で、でも!悪いのはその将軍って奴でしょう?リベール王国はヨシュアに酷いことなんてしていないじゃない!」
「話はここからだ。戦争が始まって3ヵ月後、リベールはエレボニアから休戦の提案を持ち掛けられた。その内容はハーメルの件を表に出さず闇に葬る……つまり無かった事にしろと言ってきたんだ」
「ッ!?」
あたしはそれを聞いて背筋が凍った。馬鹿なあたしでも分かる、それってつまり……
「リベールは……アリシア女王はその案を飲んだって事?」
「その通りだよ、エステル。アリシア女王は僕達を切り捨てたんだ」
あたしは信じられなかった、あんな立派で国を想う人がそんな非情な判断をしただなんて……
「エレボニアからすればこの件
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