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ドリトル先生と奇麗な薔薇達
第八幕その二

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「ないと思っていたよ」
「薔薇を華道に用いることは」
「そうだったんだ」
「ピンとこなかったのね」
「先生としては」
「そうだったんだ」
 実際にというのです。
「これがね」
「そう言うと僕達もだよね」
「そうよね」
「薔薇って欧州のイメージあるし」
「特にイギリスだよね」
「私達の祖国だね」
「代々の王室の方々にも愛されていてね」
 イギリス王室のというのです。
「前にお話したけれど薔薇戦争の時もね」
「象徴になったしね」
「ヨーク家とランカスター家の」
「ヨーク家が白薔薇でね」
「ランカスター家が赤薔薇だったね」
「シェークスピアの作品にもなっているしね」
 先生は文学からもお話しました。
「ヘンリー六世、リチャード三世とね」
「どちらも名作だよね」
「ヘンリー六世もリチャード三世も」
「結構以上に史実と違っているみたいだけれど」
「特にリチャード三世が」
「実際のリチャード三世が邪悪だったか」
 作品にある様にというのです。
「このことはかなりね」
「疑問らしいね」
「どうにも」
「実際のところは」
「僕も調べてみたけれど」
 先生もというのです。
「違うんじゃないかっていうのがね」
「結論だね」
「先生としては」
「実際のリチャード三世は」
「そう思うよ、シェークスピアさんはあまりにも凄い作家さんで」
 そうであってというのです。
「実に素晴らしい作品を多く残したね」
「そうだよね」
「実にね」
「魔法みたいに素晴らしい作品を沢山残してくれたよ」
「その二作品だけでなくて」
「あらすじも演出も見事で」 
 そうであってというのです。
「人物だってね」
「魅力的なんだよね」
「これ以上はないまでに」
「あの人の作品は」
「もう史実よりもだよ」
 この人が書いた人物達はというのです。
「印象的でね」
「記憶に残ってね」
「それでそちらの方が真実になるね」
「史実の方じゃなくて」
「そうだよ、そのことがね」
 まさにというのです。
「シェークスピアという人が凄い作家さんたる由縁で」
「リチャード三世だってね」
「史実とは違う」
「先生もそう思うんだね」
「実際そうした説は多いからね」
 歴史学ではというのです。
「リチャード三世に限らず」
「物語と史実は違う」
「物語が有名になると皆そちらを本当だって思うね」
「リチャード三世に限らず」
「そう、それが怖いんだ」
 先生は皆に言いました。
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