第二章
[8]前話
生計を立てた、田畑は広く仕事は大変だったがそれなりに収入があり豊かに暮らしていけた。その中で。
父は息子にだ、こう言った。
「お前の勤めていた会社潰れたぞ」
「そうなんだ」
「ああ、お前をクビにした頃からな」
その頃からというのだ。
「傾いてきていてな」
「だから僕クビになったんだ」
「リストラしたんだな」
「だから訳のわからない横領言われたんだ」
「訴えられなかったな」
「そうされないだけましって言われて」
「そうだろ、それはな」
家の昔ながらの畳の部屋の中で話した、下がガラスになっている障子に昭和を思わせる雰囲気がある。
「あれこれ理由を付けてな」
「リストラやってたんだ」
「そうしてな」
「人員整理してたんだ」
「けれどな」
それでもというのだった。
「そもそもブラックでな」
「業績が落ちていて」
「しかも人をそんな風に辞めさせるんだ」
田所の様にというのだ。
「そんな会社まともじゃないからな」
「潰れたんだ」
「よかったな」
父は息子にこうも言った。
「そんな会社クビになってな」
「かえってだね」
「ああ、そんな酷い会社はいない方がいい」
「だからクビになってもなんだ」
「よかったな」
こう言うのだった。
「本当にな」
「そうなんだね」
「ああ、そしてな」
父は息子にさらに言った。
「今度お前にお見合いしてもらうな」
「お見合い?」
「ああ、お前もそろそろな」
今度は笑顔で話した。
「結婚してな」
「身を固めろっていうんだ」
「そうだ」
実際にというのだ。
「お前も結婚したいだろ」
「いい人とね」
「いい人らしいぞ、じゃあな」
「お見合いするね」
こうして地元の農家の娘さんとお見合いをしてその人と結婚した、その人は父の言う通りいい人でだ。
彼は幸せになれた、そして会社をクビになってよかったと思った。一家で農家の仕事をして生計を立てられて幸せな家庭を築けて。
クビになってよかった会社 完
2024・8・22
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