第七幕その八
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「僕としてはね」
「どうにもだよね」
「今回は新婚さんだし」
「銀の薔薇は贈れないね」
「そこまで考えると」
「それに元帥夫人の立場で考えると失恋で」
それが不倫であってもというのです。
「誰も死なない作品でもね」
「あっ、何かがね」
「少しずつ死んでいく」
「そんな作品よね」
「そうだよ、まさに失恋の辛さとね」
それと、というのです。
「恋愛の終わりの切なさ、年老いていく元帥夫人の悲しさもね」
「描かれていてね」
「そうしたものだね、少しずつ死んでいくって」
「そうした作品よね」
「そうだよ、音楽も舞台も衣装もとてつもなく奇麗で」
そうであってというのです。
「このうえなく悲しい」
「そうした作品でもあるね」
「若い二人が結ばれて」
「そのうえでそうもなる」
「そんな作品だね」
「そう、だからね」
だからだというのです。
「あの作品をそのままは出来ないよ、ただヒントはね」
「得られるんだね」
「薔薇の騎士から」
「そうなのね」
「そうだよ」
必ずというのです。
「それは出来るよ」
「そうだね」
「それならだね」
「これから考えていくね」
「エンベルグさんがブラウシュタインさんに何を贈るといいか」
「そのことを」
「そうしよう、そのヒントを得る為に」
その為にというのです。
「薔薇の騎士を観ようか」
「あっ、映像あったよね」
「大学や高等部の歌劇部にもね」
「学園内の歌劇場にも資料コーナーあって」
「そちらで全曲盤の映像もあるしね」
「全曲盤のCDもあるよ」
こちらもというのです。
「歌劇場の資料コーナーにはね」
「そうだよね」
「薔薇の騎士があって」
「薔薇の騎士を作曲したリヒャルト=シュトラウスさんの他の作品の全曲盤もあって」
「他の作曲家さんのものもあるね」
「モーツァルトさんのものもあって」
「聴けるね」
「だからね」
それでというのです。
「そちらで学べるよ、あと学園のあちこちにある花園の薔薇を観たり」
「この学園で薔薇っていうと薔薇園だしね」
「植物園にある」
「あちらにも行って」
「そしてヒントを得るんだね」
「そうするよ」
是非にというのです。
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