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ある白猫の生涯
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 行くなヨー 嫌だ って」

「うー 岩・・・ わかるのかー お前にも・・・」と、お父さんは声を絞り出していた。

 だけど、お母さんに促されてお父さんの運転でお母さんと3人で行ってしまった。ミナツちゃんは。車の窓を開けて、見えなくなるまで俺に手を振ってくれていたのだ。それが、ミナツちゃんの姿を見る最後になるとは、この時、俺にはわからなかったのだ。でも、嫌な予感がしていたので、止めたつもりだったんだけど・・・

 俺は、ミナツちゃんはしばらく旅行で留守になるんかなー 程度に思っていたのだが、家の男の子達が学校に行き出しても、ミナツちゃんは帰ってこなくて、ご飯なんかもお母さんが持ってきてくれるといった具合だった。だから、俺は本家の家の中には殆ど入ることがなくなって、もっぱら俺の見張り小屋で過ごしていたのだ。きっと ミナツちゃんが現れるさー・・・

 そのうち 近所のすずりちゃんが学校の行き帰りには、必ず俺に声を掛けてくれて、門のゲートを開けて入って来て、俺の頭を撫でてくれたりもするようになっていた。

「岩ちゃん ミナツちゃんが居なくって寂しいだろうけど すずりが代わりに可愛がってあげるからね ミナツちゃんと約束したし」

 この頃から、ようやくミナツちゃんがどっかに行ってしまったんだと俺にもわかるようになってきていた。だけど、ミナツちゃんは元気で居てねと言っていたけど・・・この頃から、俺は、小屋に飛び乗るのも以前のように軽くというわけにはいかなくなってきていたし、真直ぐに歩くのも時々よろけるのだ。何となく、身体の変調を感じていたのだ。そんなに歳をとっている訳でも無いのに・・・。何かに侵され始めていると

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