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俺様勇者と武闘家日記
第3部
サマンオサ
もう一人の勇者
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が案内するよ」
「ホント!? あ、でも、これ以上ルークを巻き込むわけには……」
 するとルークは、あからさまに顔をしかめた。
「何言ってんだよ。ここまで来て、今さら僕を除け者にする気?」
「そういうつもりじゃないけど……」
「君がなんと言おうと、僕は一緒に行くからね」
 そう言ってまっすぐな目で私を見ながら断言するルークに、断るなんて選択肢は出来なかった。
「う……、じゃあ、よろしくお願いします」
「よかった! じゃあ早速行こう」
 同行すると決まった途端、跳ねるようにベッドから立ち上がると、ルークは部屋の壁にかけてあった鞄を手に取り出かける準備をした。こんなに私に構ってしまって、家のこととか仕事とか、大丈夫なのだろうか?
「ルーク……」
「何?」
 振り向く彼のいつも通りの表情に、先程の懸念が無意識に薄らいでいく。ずっと彼に頼りきりで自己嫌悪に陥りそうになるが、つい彼の言動に甘えてしまう。ユウリたちもいない見知らぬ土地で、一人でいるのはあまりにも心細かったから、彼の存在は本当に嬉しかった。
 私は準備を終えたルークの服の裾を、そっと握りしめた。
「ミオ?」
「……ルークがいなかったら、私一人でラーの鏡も見つけられなかった。本当にありがとう」
 もっとたくさん感謝の言葉を伝えたいのに、結局ありきたりな言葉しか思い浮かばない。申し訳ない気持ちになりながら俯いていると、彼の手が私の頭を優しく撫でた。
「僕は自分の意思で行動しているだけだよ。ここにいる間は好きなだけ僕を頼っていいから、気にしないで」
 顔を上げると、優しく微笑む彼の姿があった。その言葉に、鼻の奥がツンとなる。
 すると、突然下から階段を登る音が聞こえてきた。
「ルーク? もう帰ってきてるの? ミオさんはまだ寝てるから起こしちゃ……」
「かっ、母さん!?」
 様子を見に二階に上がって来たコゼットさんが部屋を覗くなり、ルークは慌てて私から離れた。
「あら、ミオさん起きてたの……」
「僕たちこれから出かけるから!! とりあえず今は出てってくれ!!」
 ワケもわからず部屋から追い出されるコゼットさんは、途中でなにかに気がついたのか目を光らせると、ルークに向かって言った。
「ええと、母さん前から娘も欲しいと思ってたんだけど、ミオさんが娘だったら大歓迎だわ」
「何言ってんだよ母さん!!」
 突然意味不明なことを言い残したコゼットさんは、ルークに無理やり下まで追いやられてしまったのであった。



 お城の裏門付近は、幸いにもほとんど人通りはなかった。
 裏門とはいえお城に一番近い通りだと言うのに、店はほとんど閉まっており、家々の明かりも数えるほどしか点いていない。薄暗い街灯がより寂れた雰囲気を醸し出し、本当にここが城下なのかと疑いたくなる。

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