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俺様勇者と武闘家日記
第3部
サマンオサ
もう一人の勇者
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。僕がリレミトとルーラを使って洞窟からここまで戻ってきてから、ニ、三時間くらいしか経ってないよ」
「なんだあ……、よかったあ……!」
 まだ約束の時間には間に合うようで、私はどっと力が抜けた。
「……って、ちょっと待ってルーク。あなたリレミトとルーラも使えるの!?」
「ああ……、生まれつき呪文が使えたんだ。職場の先輩に言ったら珍しがられたけど」
「ルーク。そのことだけど、聞いてもいいかな。ルークと同じような呪文を使う人をひとり知ってるんだけど……」
 私はルークが勇者であるユウリと同じ呪文を使えること、勇者のような先天性職業の人にはその母親に啓示があるはずだということを教えた。
「……そういうことか。誰も教えてくれないからなんで呪文を唱えられるかずっと疑問だったんだ」
「師匠は教えてくれなかったの? サイモンさんと一緒に旅をしてたのならすぐわかると思うはずだけど」
「一度も僕が勇者だってことは教えてくれなかったよ。母さんもそのことを秘密にしてたし、フェリオもそうするほうがいいと思ったんじゃないかな」
 コゼットさんの気持ちを考えれば、もしルークが勇者だと自覚してしまえば、サイモンさんのように魔王討伐の旅に行ってしまうかもしれない。だからあえて言わなかったのではないのだろうか。
「ミオ?」
「あ、ごめん。じゃあルークは自分の職業が勇者だと知らずに武闘家の修行をしてきたってことだよね。なら例えば、洞窟でも私にラリホーを使ったよね? 他にどんな呪文が使えるの?」
「大した呪文は覚えてないよ。あとはメラとホイミと……アストロンかな」
 最後の方の台詞は、歯切れ悪そうに答える。ルークもあのときのことは苦い思い出として残っているらしい。
「ルーク、あれは事故だよ。私も今の今まですっかり忘れてたし、気にしないで」
 それでもルークは、自分自身に納得できないような顔を作った。
「……あのときは、本当にごめん。本当はカエルにかけるつもりだったんだ。でも、ミオに自慢したくて、慣れない呪文を使ったら、とんでもないことに……」
「あのとき謝ってくれたんだから、もう終わったことなんだよ。それにルークが呪文を使えたから、今私はこうして無事に戻ってこられたんだもの。ありがとう、ルーク」
「ミオ……」
 私の説得にようやく納得してくれたのか、辛そうな表情だったルークの口元が緩んだ。こういう優しいところは、昔から変わってない。
「それより、もうすぐ約束の時間になるんだけど、お城の裏門ってどうやって行けばいいかわかる?」
 話を切り替えた私は、昨夜ナギが指定した場所の行き方をルークに尋ねてみた。夜に下手にお城の周りをウロウロしていたら、また昨日の格闘場みたいに変な人に絡まれてしまうと危惧して、予めルートを把握しようと思ったのだ。
「ああ、だったら僕
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