第3部
サマンオサ
もう一人の勇者
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い。目が覚めたら、ルークに聞いてみよう。それから、急いでお城に行って、ナギと待ち合わせした場所まで行って、そのあとユウリとシーラに会って、それから……。
「――はっ!?」
がばっと身を起こすと、見慣れない部屋の風景に唖然とした。
ベッドと洋服ダンス以外何もない部屋で、私はキョロキョロと辺りを見回す。
カーテンの隙間からは、西陽が差していた。室内をオレンジ色に照らす夕焼けは一日の終わりを告げているようで、妙な胸騒ぎを覚えた。
そもそも今はいつで、ここはどこなんだろう?
不安な気持ちのまま私はベッドから降りると、目の前にあるドアの前まで歩いた。耳をそばだてると、下の方から何やら物音が聞こえる。
誰かいるのかという緊張と同時に、さっきまで一緒にいたルークの可能性を考えて安堵する。もしかしたらルークがここまで運んでくれたのかもしれない。ということは、ここはルークの家である可能性が高い。
私は警戒を解くと、徐ろにドアノブを回した。ドアはたやすく開き、その向こうには廊下と、下の階に続く階段があった。さっそく階段の手摺に身を乗り出し、階下にある玄関を覗き込む。
すると、丁度タイミングよく、玄関の扉が開く音がした。入ってきたのは予想通り、ルークであった。
「ルーク!!」
私の声に、ルークはすぐにこちらを見上げると、たちまち顔を綻ばせた。
「ただいま、ミオ。具合はどう? どこか痛いところはない?」
「うん、全然平気だよ。それより、洞窟からここまでどうやって戻ってきたの?」
私の問いに、ルークは一瞬だけ表情を固くすると、無言で階段を上がってきた。
「詳しいことは僕の部屋で話すよ。君が今まで寝てた場所でね」
そう言うと私の手を取り、先程まで寝ていた部屋へと入った。ここがルークの部屋なのか、とぼんやり考えていると、ルークにベッドに座るよう促された。
「あの、ルーク……」
ベッドに座った途端、ルークもまた私の横に座る。私のおでこに手を当てると、自分のおでこも触って熱があるかどうか確認した。
「うん、熱はないね。疲れは? 眠気は? 吐き気とかはない?」
「いやだから、大丈夫だってば」
うんざりするようにルークに訴えると、彼はハッとなってぴたりと手を止めた。
「ごめん、ミオが心配で調子に乗ってた……。別に僕に心配されなくても、大丈夫だったよね」
しょんぼりしながら謝るルークに、私は慌てて訂正する。
「う、ごめん、今のは私も酷かったよ。せっかく心配してくれたのに、失礼なこと言っちゃって。それより、さっきの話! どうやってここまで帰ってこれたの? そもそも今って何日? 約束した日を過ぎちゃってないよね!?」
まくしたてるようにルークに詰め寄ると、彼はなだめるように穏やかな口調で話し始めた。
「大丈夫
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