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現実世界は理不尽に満ちている!
第72話「テレザート星の封印、必ず完遂してみせる」
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射ァァ!」

 《破滅の矢》は外装がなく骨組みや内部が剥き出しで、砂時計のようにも見える鋭角的なデザインの巨大ミサイルだ。
 それが今、発射される。

 直後、艦首に搭載された《破滅の矢》―――破滅ミサイルが切り離された。接合部に設えた爆砕ボルドがパージされ、〈ゴーランド〉と同等以上の大きさを誇るミサイルが前へと押し出される。

 次の瞬間、破滅ミサイルに特徴的な透明感ある青色の煙が拡散した。加速に加速を重ね、巨大岩盤へ吸い込まれるように突き進む。

 「破滅ミサイル、命中」

 瞬間、白銀の閃光が宙域を染まった。巨大岩盤の一点から輪のように広がり、艦隊は黒々とした影となる。閃光が引いた時、巨大岩盤は最早原型を留めていなかった。

 巨大岩盤は砕け散り、爆発の高熱は瞬時に中心部の強固な岩も溶かし、気化するやプラズマ化した。プラズマ化した巨大な渦は嵐となり、周囲に漂う破片を弄んだ。

 その光景に、ノルが息を飲んだ時だった。観測士が報告する。

 「重力場の乱れを検知」

 ゴーランドは、満足げに目を細めた。

 「流石は《テレザート》より吸い上げた、反物質を充填したミサイル。面白い働きをする」
 
 投影スクリーンは、破滅ミサイルによって生み出された嵐を捉えていた。残骸は踊り、互いに衝突しては砕けるの繰り返しであった。

 岩盤の残骸だけではない。
 ブリリアンスの奇襲部隊だけでなく、直掩艦隊さえも同じだった。爆発の光が、続々と発せられる。残骸に翻弄される、艦隊の残骸では無い。この光の正体は破滅ミサイルに巻き込まれ、それによって破壊される奇襲部隊と味方の直掩艦隊なのだ。

 最後の巨大岩盤をはめ込もうとしていた穴は、今や坩堝のような有り様だった。全てが掻き回され、衝突しあっては押し潰されていった。

 「岩盤後方の敵艦隊、全滅を確認」

 ゴーランド艦隊の勝利は、確実に来ている。20隻は失ったが、残る40隻は戦闘に支障がない。対するブリリアンスの戦力は約30隻。シールドを消失し、大破している艦のみだった。

 間もなくだ、間もなく勝利を手にすることが出来る。誰もがそう思ったその時だった。

 「ゴーランド提督!敵艦隊後方、未確認の重力干渉波あり!空間跳躍です!」
 
 次の刹那、全長1000mを超える漆黒の戦艦が、ゴーランド艦隊の射程圏内にワープアウトした。見たことの無い艦だったが、どこかアクラメータ級に似ており、その漆黒の戦艦はまるで姉のようだった。
 堂々とした威容を誇る漆黒の楔型戦艦は、一際目を引く存在だった。矢じり型の幅が広い船体、船首に向かって尖ったデザイン。艦尾から隆起した、ブリッジと思われる2つの上部構造物に設けられていた。

 この漆黒の戦艦は、ブリリアンスでは
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