第62話「波動砲の輝き」「愛だよ」
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る者の中で、唯一異なる色の肌をする白銀の美女である。
彼らは、〈ヤマト〉が第八機動艦隊を無力化した瞬間を観ていたのだ。そして、互いの反応を伺うかのように、顔を見合わせていた。皆、訝しげな表情を浮かべている。
何故、人工太陽を狙い撃ったのか。波動砲を以ってすれば、《レギオネル・カノーネ》の陣を執っていたカラクルム級戦艦群を薙ぎ払える筈なのに。
いったい何故、それを選択しなかったのか。いったい何故、ガトランティス将兵1人も殺さなかったのか。皆、皆目検討もつかなかった。…ガトランティスの頂点に君臨する、大帝を除いて。
サーベラーが白銀の髪を靡かせ、大帝の姿を仰ぎ見た。彼女に続き、最高位幕僚も頂点に君臨する男を仰ぎ見た。
「…フフっ」
大帝は薄い笑みを浮かべ、目の前に展開されている投影スクリーンを観ていた。頬杖をしているが、退屈の色は一切無い。
この光景に何か御心に触るものがあったのだと、彼らは察した。そして、大帝が見つめている投影スクリーンへ視線を向ける。
『―――逃げろ、ただ逃げろ…と奴は言いました。〈ヤマト〉は何故、我らを生かしたのか』
そこには、第八機動艦隊を率いる男―――メーザーが映っていた。メーザーの顔は、煩悶の色を浮かべていた。
そんな彼を一瞥した大帝は、サーベラーに命令する。
「〈ヤマト〉からの通信を見せよ」
御意、と応えた彼女はメーザーの横に投影スクリーンを展開させた。視線が集中する。そこには、地球人の若い男が映っていた。
『こちら、宇宙戦艦ヤマト。艦長代理の古代進だ』
そう名乗った男は、言葉を紡ぐ。
『今なら、本艦の火力で貴艦らを全滅させる事も出来る。だが、これ以上の戦闘は望まない。黙ってこの宙域から退去して欲しい。そうすれば、我々は貴艦らを攻撃しない』
古代の言葉に、サーベラーを含む最高位幕僚は眉を顰める。こいつは、何を言っているんだ。そんな彼らを他所に、大帝は珍しい動物でも見たかのような目つきとなっていた。
『星は違えど、同じ人間として賢明な判断を求む』
通信はここで終わると共に、最高位幕僚らは考えた。第八機動艦隊すべての機関が停止し、波動砲を向けながらの通信―――勧告だ。機関が復旧し再び航行可能となった際、なおも現宙域に留まれば今度こそ、波動砲を撃つという魂胆なのだろう。
疑問だった。何故、そのような脅しを掛けるのか。
『我らを殺すでもなく…』
それは、メーザーも同じ気持ちだった。彼自身、この勧告を繰り返し再生したのだ。真意がどこにあるのか、を。しかし、それでもなお結論を出しかねた。
『あれほどの火力を保有しながらも何故、戦おうとしないのか』
メーザーの口元が震
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