第59話「第十一番惑星、救出作戦を開始する!」
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―ロバート・レドラウズ教授だったか。レドラウズ教授に対し、倉田と呼ばれる空間騎兵隊員は吐き捨てるように言い放つ。
「こいつ―――簡易通信機は、出力が弱すぎるんですよ。正直、地球にも付近の艦隊にも救援要請が届くかどうか怪しい」
倉田は語る。通信可能な範囲はこの第十一番惑星と衛星軌道までで、即時の連絡をする為には通信施設で中継する必要がある。しかしその通信施設は、ガトランティス攻撃機〈デスパデーター〉によって全て爆撃されてしまった。破壊された通信施設以外にも、軌道上に存在する衛星を通じての通信を試みるも果たせなかった。
この第十一番惑星を攻め込んで来たガトランティスは入念で、そして迅速だ。事前に偵察でもしたか、情報提供者でもいたのか、データを収集でもしなければ、真っ先に軍施設や通信施設を爆撃なんてしない。
ふと、3号は”彼女”を見やる。あのビルのベランダにいた長い黒髪の女性―――桂木透子を。レドラウズ教授の助手にして考古学者である彼女は、長い緑髪の幼いガミラス人の少女を自身の膝枕に乗せていた。
3号は、ふと思った。もしや彼女は、敵に情報を渡している提供者ではなかろうか。大きく両手を広げ空を見ていたのは、おそらくテレパシーの類で情報を提供していた。容姿は地球人なのは、偵察に適すから。
3号は笑みを零した。…ふふっ、なんて名推理なのだろうか、名探偵かな。
「なら救援は…」
避難民の誰もが不安の表情を浮かべ、悲観的に見ていた。私は名探偵だなと、内心で自分を褒め称えている3号を除いて。
天城が顔を上げ、斎藤へ振り向くと共に報告する。
「外洋防衛師団司令部の通信波、捉えました」
その報告に、斎藤は満面の笑みを浮かべた。
「そうだよな、親父さんはそう簡単に死ぬタマじゃねぇ」
斎藤は続きを促すと、天城は応えた。そういえば斎藤は親父とは言っていたが、父親がその司令部で勤務しているのだろうか。にしても、親父さんとは…。3号は、小さく首を傾げた。
「こちらからの通信は妨害されているようですが、司令部とガトランティスの交信を捉えることは出来ました。音声のみではありますが」
どうします流しますか、と問うた天城に斎藤は頷いた。それを確認した彼はポチッと押すと、通信機越しの会話がこの部屋に満ちる。
『―――戦いの選択肢は幾つも残っている。我々は、貴官らを一人でも多く道連れにするという選択肢もある」
スピーカーから、凛とした土方の声が聞こえる。だが、と彼は言葉を紡ぐ。
『これ以上、犠牲を出すことは望まない。それは、貴官らも同じ筈」
降伏しよう、と土方は告げた時だ。ガトランティスの指揮官らしき男が声を上げる。
『こうふく?』
それは冷た
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