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現実世界は理不尽に満ちている!
第56話「建造開始の叫び」
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《スヴェートT世》に視線を戻すスヴェートは、興奮状態へと戻った。それを見ているスラクルは、微笑みを浮かべていながら思う。確約はしてない、「絶対にやる」とは一言も。リアルで存在していた政治家の台詞を参考にして言ってみたが、まぁあれだ、迷うことなく即答するギルド長が悪い。悪徳商法のように、コロッと騙されてもらおう。

 そもそも、だ。

 惑星破壊兵器の時もそうだったがギルド長の思考回路は、今でもどうなっているのか不思議でしょうがない。何故彼女は、こうも喧伝しようとするのだろうか。そもそも知っているのだろうか…いや、この人のことだから知っていたとしても「なんでかなぁ?」と首を傾げるだけか。全く……仮想敵には、ブリリアンスも含まれている意味を理解して欲しいものだ。

 スラクルはチラリっと、建造中である改アクラメータ級戦闘航宙艦と上位互換の艦船を見た。それを見て、ブリリアンスが仮想敵であるのは納得です、と内心で頷いた。アクラメータ級を何隻も保有している挙げ句、それ以上の大きさを持つ艦船をも建造出来るのだ。当然だろう。

 情報開示を制限しているとはいえ、こう予測している筈だ。―――艦隊戦力はガミラスと同等もしくは同等以上ではないか、と。
 事実その通り、正解である。

 はぁ、とスラクルは溜息を吐いた。もしも喧伝してしまえば、地球が波動砲艦隊で進撃してくる可能性だってありえる。波動砲を装備しているアンドロメダ級は全長500mにも満たないというのに惑星を一撃で死に至らせる挙げ句、拡散波動砲という対艦隊戦に特化しているモードにも切り替え可能とは、…チートではなかろうか。正直なところ、ブリリアンスといえども、仮に迎え撃ち勝てたとしても損害は決して無視出来ないだろう。

 西暦2203年の4月には、一万三千隻を超える波動砲艦のみの艦隊が完成するようだが……滅亡の淵にあった地球にしてはインフレし過ぎではなかろうか。波動砲艦隊が一つの銀河系を制覇するは、やろうと思えば簡単なのは計算するまでもない。異星人への警戒により軍拡に集中するのは理解出来るが、それにしてもインフレし過ぎだ。

 もう、あれだ。逆にブリリアンスが地球を仮想敵に断定したいくらいだ。その地球出身のギルド長はだが、波動砲艦隊がそれはもうカッコイイ大好きなんて言っている。………お気楽で羨ましいことだ。

 艦隊は防衛としてアルポ銀河の国境に艦隊を配置し、多数の艦隊を遊弋させているスラクル。手元にある戦力を泳がせるのは性に合わないと、本星周辺を固めていたギルド長は当時そう言っていたがゲーマーの性を出さないでもらいたい。現実世界は、ゲームの世界ではないのだ。大戦力を本星の防衛のみに利用するというのは、忌避すべき事だ。

 スラクルは、スヴェートへ向けていた視線を《スヴェートT世》へ
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