第一部
三月の戦闘 X
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体からの一撃。普通に考えれば抜刀術の方が先に届くはず。
・・・だが、その程度も覆せないようでは、【剣の王】を名乗るには値しない。
「いい腕だ。けど、まだ足りない。」
ドニの魔剣と鈴蘭の創った刀がぶつかり合い、一瞬のうちに刀は斬り裂かれた。どう考えても彼女の攻撃のほうが早かったはずなのだが、ドニはそれを完璧に防御して、逆に武器を破壊することに成功したのだ。
「終わり!」
そのまま流れるように魔剣を振りかぶって鈴蘭に斬りかかるドニ。だが・・・
「うん。終わりだね。」
その言葉と共に、斬り裂かれた筈の刀が、ドニに向かって伸びてきた。
「!?」
動揺しながらも攻撃を続けたところは流石だが、今回ばかりはその一瞬出来た隙が致命的であった。
「一度、言ってみたかったんだよねぇ・・・。無限の剣製・・・って。」
彼女たちを、無数の輝きが囲む。
それは刀であったり、直刀であったり、はたまたナイフだったりもした。多種多様な武具が、その切っ先をドニに向けており、その喉元には先程伸びてきた日本刀が突きつけられていた。
「・・・まいったよ。まさか、一度斬り裂いた武器が再生するなんてね。」
その言葉を聞いた鈴蘭は、全ての武器を消し去った。
「武器を創るのも継ぎ足すのも変わらないでしょ。」
「そりゃそうだ。」
クククッと彼は笑う。現に彼女は、腹部の傷に、アルケーで作成した新しい細胞を継ぎ足して治しているのだ。それが武器にも使用出来ると考えなかった彼が悪い。
「楽しかったよ。また今度戦おうね!」
「ま、気が向いたらね。」
そう言いながら、最初にやったように彼女がパチンと指を鳴らす。
『ウッ!?』
またもやあの不快な感覚が襲ってくる。それと同時に、世界は戻った。
「じゃ、ドニは出てってね。私の報酬の為に。」
結構酷いことを平然と言う鈴蘭。まぁ、迷惑ばかりかけさせられているのだから、これぐらいの悪態は普通かもしれないが。
「分かったよ。じゃ、またね!」
笑いながら去っていくドニ。それを追いかけようとしたアンドレアは、何かに気がついたように鈴蘭へと走り寄ってきた。
「それでは【聖魔王】様。今回は色々とご迷惑をおかけしました。報酬やその他の話は、明日にでも。それと・・・」
「ん?何?」
「【聖魔王】様の創った武器などは、依頼すれば創って貰えるでしょうか?」
その言葉に、鈴蘭はニヤリと笑い。
「伊織魔殺商会に、お任せあれ♪」
こうして、迷惑な魔王は去り、日本につかの間の平穏が戻ったので
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