第一部
三月の戦闘 X
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することも出来ない為に避けることは不可能だ。
「それに・・・!」
彼女の一番理解不能な部分は、それだけの攻撃を絶えず連発しておきながら、呪力が衰える様子さえ見えないところだ。
権能とは、呪力を糧として発動する物である。攻撃系でも防御系でも、補助系でもそれは変わらない。現にドニの【斬り裂く銀の腕】も、【鋼の加護】も、発動中は常に呪力を消費している。一撃が大きい放出型ではなく、効果を対象に纏わせる常駐型だから消費は少ないが、それでも呪力を消費しているのである。
・・・なのに、彼女にはその様子が全く見られない。一体どういうことなのか?
「・・・でも、前に進まなきゃ、勝てないんだよねぇ!」
剣を振る。元より彼にはそれしかない。彼女の権能の正体が分かろうが分かるまいが、彼にはそれしか出来ないし、それ以外をするつもりもない。多少理不尽な展開ではあるが、神々やカンピオーネとの戦闘とは最初からそんな物だ。今さら嘆いても仕方がない。
だから彼は進む。その身に襲いかかる銃弾の嵐も暴風の風も、見えざる打撃さえも無視して突き進む。
「うわ・・・凄い。」
そんな彼の姿に何か感じるものがあったのか、鈴蘭からは感嘆の溜息が。
「女性のお腹を躊躇いなく斬るような鬼畜だけど、戦闘にかけるその意気込みだけは評価してもいいかな!」
そう言いながら、無慈悲に威力の高い不可視の打撃を乱発してくる。それに打たれながらも、ドニは突き進む。一撃で戦闘不能にさえならなければ、カンピオーネの修復能力でゴリ押し出来る。無論、カンピオーネの修復能力にも限度があるし、実際彼の怪我も出血を抑える程度にしか役立っていないが、彼はそれすらも無視している。
「ど根性って奴?嫌いじゃないよそういうの。」
唐突に、攻撃を止めた鈴蘭。彼女の行動が理解出来ず、ドニは眉を顰めた。
「でも、このままだと勝負つかなそうなんだよね。遠距離から一方的に攻撃っていうのも何か格好悪いし。」
そう言いながら彼女は、虚空から純白の日本刀を取り出した。
「・・・凄い。」
思わずドニが呟いてしまう。それほどの刀。先日翔希が見せてくれた”黒の剣”とは真逆。柄から刀身まで、全てが神々しいまでの純白に染め上げられているのだ。感じる威圧感は”黒の剣”の比では無いが、それでも十分な業物だと判断できる。
「私が権能で創ったの。」
「キミが創ったのかい!?」
ドニはその言葉に驚愕する。超一流の刀鍛冶でも作れそうもないそれは、神代の刀だと言われても信じてしまいそうな程の力を、威圧感を放出している。それが、自分よりも若い目の前の女性の手で創られたなど、簡単に信じられる訳
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