暁 〜小説投稿サイト〜
現実世界は理不尽に満ちている!
第53話「テレサと、地球の真実」
[7/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
告げたキーマンの瞳に、とある構造物が移動するさまが映った。

 「あれは…!」

 古代も同様だが、その構造物を見た彼には見覚えがある。いや、あり過ぎる。間違いない、あれは…波動エンジンだ。
 それだけではない。あらゆる方向に造船設備が展開しており、乾ドッグが置かれ、建造が完了した艦船と建造途中の艦船が鎮座していた。
 古代とキーマン以外の人間はいない。代わりに、ガミラスのガミロイドをベースに作られた作業用のドロイドがいる。

 鉄製の欄干(らんかん)に手をやる古代は、あまりの光景に唖然としていた。建造されている艦船は全て戦艦であるが、それは金剛型改ではなく共通して波動砲を搭載した戦艦だ。

 「なんで、なんで…」

 無意識に握る手が強くなる古代。内側の憤りが込み上げ怒りの色を顕わとした古代は、キーマンへ勢いよく顔を向ける。

 「なんで、こんなことに!」

 キーマンは答えない。ただ、古代に向けていた視線を鎮座する複数の戦艦へ向けていた。

 「いつからだ、いつから…」

 古代のそれは、キーマンへ向けた問いだった。キーマンならば、知っているだろうから。戦艦群へ向けていた視線を、古代へ戻したキーマンは静かな声音で告げる。その声音は、怒りで震える古代とは対照的だった。

 「〈ヤマト〉が帰還して直ぐだ。リバースシンドロームの実態把握に5年。ドッグの建設に10年」

 「…は?」

 古代は、キーマンへ顔を向けた。何を、言っているんだ。〈ヤマト〉の帰還から、まだ3年しか経過していないじゃないか。そう思う古代に、キーマンは言葉を紡ぐ。

 「《時間断層》」

 「時間、断層…?」

 「この真相を知る者達は、そう呼んでいる」

 その意味を、古代は理解が出来なかった。出来るとすれば、反芻して訊き返すことだけだ。

 「外で1日が経過する間に、この《時間断層》は10倍―――10日分の時間が流れる。コスモリバースが発生させた《反重力特異点》。それが、この空間の時間の流れを狂わせている。《時間断層》で30年を掛けて大軍事工廠を作り上げようとも、外で流れた時間は3年。〈アンドロメダ〉の異常な速さの完成を、お前も疑問に思っていた筈」

 「……」

 「地球連邦政府は、この《時間断層》を中心に波動砲艦隊を作ろうと計画し今に至る。磯風型・村雨型・金剛型以下の主力を後方に下げ、波動砲艦で艦隊を形成する。これなくして、復興政策はあり得なかっただろう」

 「…復興、だと?ハハ…これのどこが復興だ!」

 キーマンは、涼しげに目を閉じる。

 「ガミラス・ブリリアンス・地球の連合艦隊に、軍事同盟」

 そう口にしたキーマンは目を開け、その1点を見るよう古代へ促した。

 「もう、
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ