第53話「テレサと、地球の真実」
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告げたキーマンの瞳に、とある構造物が移動するさまが映った。
「あれは…!」
古代も同様だが、その構造物を見た彼には見覚えがある。いや、あり過ぎる。間違いない、あれは…波動エンジンだ。
それだけではない。あらゆる方向に造船設備が展開しており、乾ドッグが置かれ、建造が完了した艦船と建造途中の艦船が鎮座していた。
古代とキーマン以外の人間はいない。代わりに、ガミラスのガミロイドをベースに作られた作業用のドロイドがいる。
鉄製の欄干に手をやる古代は、あまりの光景に唖然としていた。建造されている艦船は全て戦艦であるが、それは金剛型改ではなく共通して波動砲を搭載した戦艦だ。
「なんで、なんで…」
無意識に握る手が強くなる古代。内側の憤りが込み上げ怒りの色を顕わとした古代は、キーマンへ勢いよく顔を向ける。
「なんで、こんなことに!」
キーマンは答えない。ただ、古代に向けていた視線を鎮座する複数の戦艦へ向けていた。
「いつからだ、いつから…」
古代のそれは、キーマンへ向けた問いだった。キーマンならば、知っているだろうから。戦艦群へ向けていた視線を、古代へ戻したキーマンは静かな声音で告げる。その声音は、怒りで震える古代とは対照的だった。
「〈ヤマト〉が帰還して直ぐだ。リバースシンドロームの実態把握に5年。ドッグの建設に10年」
「…は?」
古代は、キーマンへ顔を向けた。何を、言っているんだ。〈ヤマト〉の帰還から、まだ3年しか経過していないじゃないか。そう思う古代に、キーマンは言葉を紡ぐ。
「《時間断層》」
「時間、断層…?」
「この真相を知る者達は、そう呼んでいる」
その意味を、古代は理解が出来なかった。出来るとすれば、反芻して訊き返すことだけだ。
「外で1日が経過する間に、この《時間断層》は10倍―――10日分の時間が流れる。コスモリバースが発生させた《反重力特異点》。それが、この空間の時間の流れを狂わせている。《時間断層》で30年を掛けて大軍事工廠を作り上げようとも、外で流れた時間は3年。〈アンドロメダ〉の異常な速さの完成を、お前も疑問に思っていた筈」
「……」
「地球連邦政府は、この《時間断層》を中心に波動砲艦隊を作ろうと計画し今に至る。磯風型・村雨型・金剛型以下の主力を後方に下げ、波動砲艦で艦隊を形成する。これなくして、復興政策はあり得なかっただろう」
「…復興、だと?ハハ…これのどこが復興だ!」
キーマンは、涼しげに目を閉じる。
「ガミラス・ブリリアンス・地球の連合艦隊に、軍事同盟」
そう口にしたキーマンは目を開け、その1点を見るよう古代へ促した。
「もう、
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