第53話「テレサと、地球の真実」
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と死を繰り返していた。
惑星の画像や遺跡、出土品、廃墟、ありとあらゆるデータが立体映像に表示されていく。これらはガミラスの勢力圏に限られているものの、かなりの文明が存在していたと調査が教えてくれた。それは同時に、この宇宙には数多の文明が存在していることも教えてくれていた。
「多くの文明が勃興しては、やがて滅亡していった」
戦争、疫病、天変地異といった様々な滅亡の要因を挙げるバレル大使。だが、と彼は続ける。
「その中で滅びなかった文明が存在する。その文明は、文明の頂点を極めたとされる。だがある日、突然と姿を消した。惑星ごと、だ」
「惑星ごと、姿を消した…?」
バレル大使は頷き、言葉を紡ぐ。
「その星の民は人間の意思そのものを物理的な力へと変えて、利用することが出来た。人間の想像力に限界が無いように、精神から引き出されるエネルギーにも限界は無い。無限に等しい力を誇った彼等は、その気になれば星座の形を変えることすら出来た」
それに似たようなものが、ギリシャ神話には存在する。主神ゼウスは英雄ヘラクレスの死を惜しみ、天へと上げた。彼の姿を星座として残し、いつまでもその存在を人々が語り継ぐようにする為に。それはつまり…。
「神…」
古代の呟きを、バレル大使は引き継ぐ。
「そう、まさしく神の力。しかし、その力を持ってしまった故に彼らは肉体を必要としなくなった。生きながらにして、死後の世界に足を踏み入れたようなもの。精神だけの存在となった彼らは、生きた人間では決して辿り着くことが出来ない次元の果てで結晶化し、一つの存在となった」
祈り続ける彼女の名を、バレル大使は告げる。
「その名はテレサ。あの世とこの世の狭間であって、全ての平穏を願い続ける女神」
お伽噺ではない、と断じたバレル大使は続ける。同時に、遺跡とテレサに関する情報が展開される。
「テレザートが実在する逸話は様々な星間文明に残っている。神が伝説や伝承で語れるように、人々は実体を自身の瞳で見ぬまま、テレザートを語り継いでいる。そして、テレサに選ばれた者達の記録も。どれも1000年以上もの前だが」
「選ばれた…?」
バレル大使が頷くと共に、言葉を紡ぐ。
「君達かつての〈ヤマト〉の乗組員は、共通の幻―――故人を見た。古代、君は誰を見た?」
「自分は、沖田艦長を見ました」
「それが、テレサのメッセンジャーだ。我々よりも高い次元に存在するが故に、テレサはこの宇宙の始まりから終わりまで見通している。テレサに選ばれた者は、あるべき未来に従って為さねばならない」
瞬間、バレル大使は軽く手を振る形でキーマンに指示を出した。すると、テーブルの上方に宇宙図が現れた。入れ
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