第52話「素晴らしい!」
[1/3]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
―――《ブリリアンス星》。
ギルド長スヴェートの私室で瓜二つの女性同士が会話をしていたが、それは終わりを迎える。
『―――以上が、転生者テレーゼ・ドルクマスについてだ。太陽系全域に生じた通信障害の件と並行して、引き続き調査する』
「よろしく頼む」
通信を切るとホログラムが揺らぎ、2号と名付けられたリンガルの姿が消え始める。黒サングラスを掛けた彼女の姿は、やがて消えていった。
入れ代わるように、テレーゼの写真と情報が展開される。それを観ていたスヴェートは、呆れた顔となった。
「馬鹿かな?」
目を擦っても、目を閉じてカッと目を見開いて見つめても、そこに映る情報は変わらずだ。
いやだって、呆れてしまうのも仕方ないというもの。自分は転生者です的な文章が、至るところに存在しているのだ。掲示板だけならどんなによかったか。掲示板以外にも、そういった文面と発言がある。よく精神科に連れて行かれなかったなと思うし、よくNASAに入れたなとも思う。おそらく相手も「そうなんだねぇ」のていで、話を受けていたのだろう。
だが、テレーゼが転生者であるのは本当の事だ。自宅で、ブリリアンス艦船を興奮気味で一人独白していたくらいなのだから。
「写真でいっぱいだったな」
転生者関連で関係はない事だが、自身の後輩が超タイプなのか部屋一面に彼の写真が貼られていた。確か、クロノアだったか。見た目はまんま男の娘。勤務姿に寝顔に料理姿にお風呂など、ありとあらゆる写真がそこにはあった。好きなのだろう、抱き枕にもメイド姿のクロノアがある程なのだから。
付き合っているのだろうか、と2号に調べさせたところ、バッチリ付き合っているようだ。であれば、これは普通で健全なのだろう。「あぁ愛しのクロノア、愛しのクロノア!」と写真に向かった頬を擦りつけていたのは不思議ではあるが。
「懐かしいな。テレーゼを見ると、誰もいない学校の教室の事を思い出す」
それは、スヴェートがまだ高校生の時だった。部活に所属していない彼女は授業が終わると真っ先に帰宅するが、ふと声が聞こえたことで帰宅はせず学校に残った。声の発生源であろう使われていない空き教室を覗くと、一人の女子生徒がテレーゼと同じ事をしていた。
「夜遅くの教室で、カップルがいたのも懐かしい」
翌日の夜遅く、忘れ物を取りに学校へ行き教室の扉を開けようとした時、年若い男女の声が聞こえた。男は悲鳴交じりの声、女のほうは嬉しそうな声だった。大丈夫か大丈夫かと扉を開けると、学校の制服を乱れている男女がいた。床に仰向けである下級生の少年と、同級生の少女が彼の上に跨る。
どういう状況だ、と「??」を浮かべたものだ。2人の視線が向けられる中、私は探し求めていた忘れ
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ