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東方守勢録
第九話
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言った『永遠亭』にはまだ幻想郷の住人が残っているらしい。
「そこに行こう。ここに革命軍が来たってことは行動を始めたってことかもしれないし、永遠亭も襲撃を受けてる可能性があるし……」
「わかったわ。妖夢、幽々子をお願い」
 妖夢は軽くうなずいて幽々子を背負う。紫は全員の状態を軽く確認し大丈夫だと判断すると、そのまま背後にスキマを展開させた。
「さてと……いきましょうか」
 周囲を警戒しつつ六人はスキマの中へと消えて行く。そんななかで俊司はいろいろ念がこもった溜息をこぼし、静かに汗を拭っていた。


 辺りを見渡せば一面竹が並んでいる。たまに流れてくるそよ風は密集した竹の葉を静かに揺らし、静かな大合唱を作り上げていた。この竹林は幻想郷では『迷いの竹林』と呼ばれており、生きた者がこの竹林に入り込むとほとんどが出口を見つけられずさまよい続けると言われている。
 そんな竹林のある場所には、少し立派な作りをした和風の建物が一軒建っていた。みたところどこかの偉い武士が住んでいるのかと思われるが、別にそういったわけではない。ここは人里の人間には診療所と呼ばれており、正式名称は『永遠亭』と言う。この診療所でもらえる薬は副作用が少なく良く聞くと言われており、難病を抱えた者や急患など大勢の人間が訪れる。
 永遠亭には主人を始めとした月の人間が二人住んでおり、それ以外にも妖怪の月兎一匹と地上の兎が何十匹と生活していた。しかし今のこの場所は竹の葉が揺れる音しか聞こえず、庭で作業をしている兎達の姿はない。唯一玄関に一人の人影が見えるくらいだった。
 玄関に立っている少女は箒を持って落ちていた竹の葉を集めているようだ。
「はぁ……今日は風が強いですね……」
 そう言って空を見上げた少女は、なぜか物足りなさそうな顔をしていた。
 少女はまるで外の世界の高校生のような姿をしており、髪の毛は白に近い紫いろのロングヘアーで、上はブレザー・下はピンクのミニスカートをはいている。唯一おかしいのは兎の耳としっぽのような物をつけているというところだろうか。
「患者さんも来ないし……忙しくないって言えば忙しくないけど、今は今で大変なんだよなぁ……」
 少女は不満そうに独り言をつぶやいて溜息をついていた。
「なに一人でしゃべってるんだ? ……鈴仙」
「はうぅ!」
 肩をふるわせて驚いた少女の背後には、赤いもんぺを着用した白髪ロングヘアーの少女がいた。静かに振り返ったウサ耳の少女は、彼女の姿を見た瞬間ほっと肩を下ろす。
「なんだ……妹紅さんですか。びっくりさせないでください……」
「ああ、悪い悪い」
 妹紅と呼ばれた少女は、入口のすぐ横の壁にもたれかかると大きく息を吐いた。
 この少女の名は『藤原 妹紅』。この竹林で済んでいる人間の少女で、普段は人里に出向いたり竹
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