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東方守勢録
第九話
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とは言えど、やはり主従の関係は変わらず主人の事を思っているのだろう。
 そんな彼女に俊司は目を閉じながら答える。
「大丈夫だよ。たぶん反動が大きいんだ……そのままにしてあげて」
「ですが!」
「いやああああ!!あああああ……あああ……あ……」
 妖夢が反論しようとした瞬間、幽々子は泣きつかれた赤子のように急に静まり返ると意識を失った。
「幽々子様……?幽々子様!!しっかりしてください!幽々子様!!」
 妖夢が声をかけても幽々子は何も答えようとはしていない。寝息をたてるように軽く呼吸をしてはいるが、顔色は決して良いとは言い切れなかった。
 しばらくして後ろで待機していた霊夢達が駆けつけてくる。そんな中俊司は一人手のひらに乗った黒い物体を見ていた。
「……チップか」
 物体の中央には『対人型遠隔制御チップ タイプA』と書かれていた。遠隔制御ということはおそらくどこかに建てられている基地から直接電波を出し、チップを通じて体内を制御していたのだろう。このチップ事態が脳の役割をしていたと言ってもいいかもしれない。
「俊司君……一体幽々子に何をしたの?」
「これを引き抜いたんだ」
 困惑した様子でたずねてきた紫に、俊司は眺めていたチップを手渡す。紫はまじまじとそれを見つめた後、すべてを悟ったかのように溜息をついていた。
「そういうことだったのね……確かに、幽々子はちょっと天然が入ってるけど……幻想郷を奪おうなんて思うわけないしね」
「ああ。幽々子さんに限らず、全員が幻想郷を守ろうと思ってるはずだよ」
「あの〜お二人さん?もったいぶってないできちんと話して下さいよ〜」
 他の三人を置き去りにして二人で答えを確かめ合っていると、我慢しきれなくなった文が苦笑いをしながら声をかけてきた。
「え〜っと……簡潔に言うと、あやつられてたってことかな」
「あやつられてた……そのチップでですか!?」
 二人はこのチップの名前を言った後、どのようにして彼女を操っていたかを簡潔に説明した。最初は静かに聞いていた三人だったが、徐々に革命軍のやり方に腹が立ってきたのか、拳を強く握りしめ怒りをあらわにしていた。
 特に妖夢の怒りは半端なものではないだろう。自身の主人をこのような方法で無理やり働かせ、さらには幻想郷の人間を攻撃するように指示を与えるだなんて、従者の彼女にとっては怒りだけでなく自分の不甲斐なさを身にしみて感じているに違いない。
 しばらく無言の時間が続いたが、俊司が咳払いをして注目を集めた後話を続けた。
「とりあえずここから移動しよう。いつ兵士が起きてくるかわからないし、幽々子さんをどこかで休ませてあげないと……」
「それもそうね……確か『永遠亭』にはまだ人がいたはずよ」
 話によると避難場所となっているのはここ以外にもあるらしく、紫が
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