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東方守勢録
第九話
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(!!)
 幽々子は目にも止まらぬ速さで体を翻すと、妖夢の刀のそばを沿うようにして一気に接近し妖夢の体を吹き飛ばした。完全に妖夢の油断をついた不意打ちだ。
「きゃっ!!」
 今度は妖夢が尻もちをつき隙だらけとなってしまう。その間に幽々子は落ちていた扇子を拾い上げると、そのまま妖夢に先端をつきつけた。
「私は敵よ妖夢! だから情けは無用なのよ! そろそろおとなしくしてもらおうかしら!?」
「おとなしくするのは、あんただと思うけどな?」
「なっ……!?」
 怒鳴っていた幽々子の首筋に冷たい何かがつきつけられる。彼女の背後に立っていたのは、学生服を着た外来人の俊司だった。
「いつの……まに……」
「こっちは一人で戦ってるんじゃないんだ……妖夢大丈夫か?」
「はい。すいません、勝手な真似を……」
 申し訳なさそうにする妖夢。そんな彼女に俊司は一言「いいよ」と返した。
(さてと……どうしたものか……)
 俊司が幽々子のそばに来た目的は彼女を問いただすことだった。なぜ革命軍に手を貸しているのかを聞きだすのと、本当に洗脳されているかどうかを確かめたかったのだ。まず何を聞くべきか考えながら、俊司はゆっくりと視線を落として行く。その瞬間俊司はある異変に気がついた。
(えっ……これって……?)
 幽々子の左手の甲には、微かに光を反射する黒い何かがくっついていた。微弱ながらも音も出しているようで、どことなく気味が悪い。
「幽々子さん。左手に付いてる黒いものはなんですか?」
「黒い……もの?……何もないじゃない」
 左手をじろじろとみた幽々子だったが、どうやら彼女には見えていないようだった。見えないということはつまり視覚情報をコントロールされていること。となると彼女は洗脳されているわけでも、ただ単に革命軍の味方をしているわけではないということだ。
(やっぱりな……)
 俊司もこの黒い物体の意味がわかったようだった。となると次にやることは当然決まっている。
「なっ何のつもり!?」
「ちょっと我慢してくださいね」
 俊司は彼女の左手を手に取ると、その黒い物体をつかむみ思い切り引き抜く。火花をちらつかせながら大きく音を上げ煙を出す黒い物体。幽々子は一瞬何をしたのかわからず呆然としていたが、一瞬で狂ったように表情を一変させた…
「ああ……あああああ! いや……いやいやいやいやいやいや!!」
「ゆっ……幽々子様!?」
妖夢は思わず幽々子の元へと駆け寄り、倒れこもうとする彼女を支える。しかし幽々子は妖夢をはねのけると、その場にうずくまりながら悲鳴を上げ続けた。
「うああああ!!!あああああああ!!!」
「幽々子様!!お気を確かに!! 俊司さんいったい何を!!」
 俊司が何か細工をしたと考えた妖夢は、恨んだように彼を睨みつける。敵になった
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