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東方守勢録
第九話
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兵士達とその中央に立つ文だった。
「さてどうしますか?」
 文は笑みを浮かべながらそう言った。しかし幽々子は絶望的な状況になりながらも、強気な姿勢を崩そうとはしない。
「……降伏するわけないじゃない」
 再び扇を構え戦闘態勢に入る幽々子。そんな彼女を見ながら溜息を吐いた文は、何を思ったのか懐から手帳を取り出しあるページを開いた。
「そうそう。文々゜新聞に新しく占いの項目が出来たんですよ」
「何をいきなり……」
 こっちを睨みつける幽々子をよそに文は話を続ける。
「本日の幽々子さんの運勢は……ああ〜残念ながら小吉ですね。今日一日はあまり活動しなほうがいいけど、その先には嬉しいことがあるかもですって!なんかあたってませんか?」
 文がそう言っても幽々子は何も言おうとはしなかった。というよりかは不審人物を見るような目でこっちを見ている。
「そんな顔しないで下さいよ!ええっと本日のアドバイスは……」
文は『それ』を口にしようとして気味の悪い笑みを浮かべていた。
「後ろに注意……」
「なっ!!」
 嫌な予感がした幽々子はすぐさま後ろを振り返る。そんな彼女の足元には地面を割いたようなスキマが出来あがっていた。


(幽々子様……私はあなたに使える身です。いつまでもお守りするのが私の役目です。でも、私はあの時あなたを守れなかった……でも幽々子様は生きていた……敵に寝返って。何を吹き込まれてしまったのかはわからない……だけど、主が道を外れようとしてるなら……それを正すのも私のお役目です!)
 スキマの中で覚悟を決めた庭師は、思いっきり地面をけって外へと飛び出すのであった。


 幽々子が足元のスキマを確認した瞬間、中から白髪の少女が勢いよく飛び出してきた。
「スキあり!! せやあ!」
(妖夢!?)
 突然の出来事に反応が遅れてしまう幽々子。そんな彼女に妖夢は躊躇することなく刀を振るう。反応が遅れてしまった分避ける動作が鈍くなってしまった幽々子は、攻撃を避けきれず扇を使ってはじき返す。しかしその反動で幽々子の手から扇がすっぽぬけてしまった。
(しまった扇が!)
「まだまだ!」
 妖夢は着地と同時に体をかがめながら幽々子の足を蹴り飛ばす。足をすくわれた幽々子はバランスを崩して尻もちをつき、完全にスキだらけとなってしまった。
「幽々子様降伏してください……今ならまだ間に合います!」
 妖夢は刀を幽々子の喉仏にむけて突き出しそう言った。
「妖夢……」
「お願いです……幽々子様」
 妖夢は幽々子を睨みつけるどころか悲しそうな顔をしたままそう言った。それをみた幽々子は、何を思ったのか笑みをこぼしていた
「……そうね、だからあなたは……」
 続きを言いかけた瞬間、幽々子はぐっと妖夢を睨みつける。
「つめが甘いのよ」

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