第38話「ブリリアンスの王、相見ゆ」
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を掛けた黒檀の長机とふかふかの席、絨毯や壁面、装飾にも手が込まれていた。
その会議場に地球連邦大統領以下の要人が、ブリリアンスの外交団を出迎えた。
「ブリリアンス外交団、入室されます!」
男性士官の大きな声が会議場に行き渡った直後、ブリリアンスの外交団が入室する。一同の視線が、彼ら―――否、彼女らに向けられた。
「な、なんと…」
地球連邦大統領ペネットは、小さくも驚きの声を上げる。それは、この場に集う要人も同じ気持ちだ。ブリリアンス外交団の全員が見目麗しい女性だったのもそうだが、視線は”彼女”に向けられていた。
美しく、きめ細かな白髪。
真っ直ぐ整った鼻。
切れ長の美しい赤い瞳と黄金の瞳をするオッドアイ。
強い意思を感じさせる唇。
全てがバランスよく配置された”彼女”の顔立ちは、まるで精巧に作り上げられた人形のようにも見えることだろう。
美しいのは顔だけじゃない。
身体付きも完璧といっても過言ではないものだった。学ランを基調としたような純白の軍服を着用し、外は黒色、内側が赤色の肩掛けマントを背負う。
軍服の上からはっきりと分かるくらい胸元は、ツンっと上向きに盛り上がっている。それでいて腰は今にも折れそうなくらい引き締まっていた。
下は純白のスラックス。足にフィットしているスラックスは足のラインが良く分かり、スラリとした両足は、まるでモデルのよう。
ペネット大統領を含む要人は、”彼女”の名前を内心で確認する。―――スヴェート、と。
同時に、彼らは思う。スヴェートは、一大佐ではないのか。否、と内心にて首を横に振る。メッセージの最後には、こうあったのだ。―――ブリリアンス国王、スヴェート・ブリリアンス。
つまりは、だ。スヴェート・ブリリアンスは王族で、女王だったのだ。何故、一国の王がアケーリアスの遺跡シャンブロウにいたのかについては疑問が絶えない。しかし、だ。今はそれを考える時間ではない、後でも出来ることだ。
ペネット大統領は、歓迎の笑みを浮かべて出迎えた。
「ようこそ、地球へ」
彼に対し、スヴェートは静かな笑みを浮かべた。
両国の代表団はペネット大統領とスヴェート女王を中心にして左右に広がり、交渉のテーブルへと着く。外交交渉が、幕を上げた瞬間であった。
……
…
そして、時は経過し、西暦2201年の某月某日。
度重なる協議と擦り合わせの上で地球はブリリアンスとの各種国交の条約を、締結したことを国内外に知らしめたのだった。
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