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東方守勢録
第八話
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の考えた必殺技を込めながらその時を待っていた。
 そんなことは知らず、幽々子はそろそろ勝負をつけようと動き始める。
「さてと……そろそろとどめといきましょうか」
 幽々子は懐から一枚のカードを取り出すと、目の前でそれを掲げて発動させた。

亡郷『亡我郷 ― 道なき道 ― 』

スペルカードの発動とともにおびただしい量の弾幕が俊司たちに向けられる。はたから見れば絶望的な状況だ。しかし俊司の目は死んではいなかった。
「霊夢頼む!」
「ええ!」
 霊夢は指示通り結界を解いた後、俊司の後ろに回り邪魔にならない位置に立つ。そして前に出てきた俊司の右手には青白く光るスペルカードが握られていた。
「あら?もう防がないの?」
 幽々子は笑みを浮かべて彼らをからかう。だがそんな挑発に彼がのるわけがなかった。
「いいや、これが打開策なんだよ!」
 俊司は持っていたカードに念を込めると一気に発動させた。

変換『コンバートミラー』

 カードの発動とともに巨大な盾が俊司の前に出現する。縦の前方は鏡となっており、そこには幽々子と兵士達の姿が映り込んでいた。しかしそれ以外はなにも変わった者がない。
「……あらあら? ただの見かけ倒しなのかしら?」
 幽々子もただの盾かと思い鼻で笑っていた。だが彼はただの盾を出したつもりはなさそうだ。
「いいや? まあ見てなって」
 なぜか自信に満ち溢れた表情でどっしりと構える俊司。その間にも幽々子の弾幕は徐々に近づいてきていた。
「ちょっと俊司! どうするつもりなの!」
 少し焦り始めた霊夢。だが俊司はこんな状況になっても冷静のままだった。
「大丈夫だよ霊夢。これが狙いなんだ」
(狙い? いったい何を考えてるの……)
 俊司の意図が考えられず呆然とする霊夢。そしてそんなことを話していた瞬間、幽々子の弾幕の最初の弾が俊司の盾にぶつかる。だが異変が起こったのはその直後だった。
「なっ!?」
 急に甲高い音が響き渡ったかと思うと、鏡から大量の光が漏れ始める。あまりの強さに思わず目をそらしてしまう幽々子。
「なにが……!!」
 幽々子の目に飛び込んできたものは衝撃的なものだった。
 幽々子が放った弾幕は異様な光を放つ盾に向けて集まり始めていた。自分が思い描いていた弾幕の軌道とは完全にはずれ、まるで吸い寄せられるようだ。
 やがて弾幕は少しずつ盾の中へと吸い込まれていった。
「私の……弾幕が……」
 予想外の出来事に驚きを隠せない幽々子。そんな彼女をみながら予定通りと言わんばかりに俊司は笑みを浮かべた。
「これがコンバートミラーの能力だよ。まあ弾幕が出せないから、こういったスペルカードを使うしかないんでね」
 弾幕の吸収が終わると盾は静かに消えていった。幽々子の弾幕は跡形もなくなり、辺り
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