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東方守勢録
第八話
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はまさにこのことよね〜」
 そう言って扇を広げた彼女の背後には、蝶のような弾の弾幕が形を作り始めていた。兵士全員で銃による攻撃を行い、リロード中は彼女が弾幕で隙を補う。それが彼らの戦歩だったのだ。
「さてと、どこまで耐えられるかしら?」
 幽々子は扇を縦に振り下ろす。その動きに合わせるように弾幕は宙を舞って紫達に向かってきた。
「くっ!」
 衝撃を受けて顔をゆがませる霊夢。鉛玉をはじくくらいならあまり力を必要とはしないが、幽々子の弾幕となると防ぐのにもかなり体力を消耗する。
 もしあの時結界を解いて避けるようにしたならばどうだろうか。こちらは幻想郷一・二の実力を持つ紫・博麗の巫女霊夢・白玉楼の庭師妖夢・幻想郷の伝統ブン屋文、この四人ならば彼女の弾幕を避けることは可能だろう。だが問題なのは外来人の俊司だ。彼はゲーム画面で彼女の弾幕を見ていたにしろ、現実世界で彼女の弾幕を見たことはない。つまり結界を張らなければ彼が被弾するのは確実だし、よけきったとしても次の兵士の攻撃は避けきれないだろう。ここに来て彼の存在が裏目に出てしまったのだ。
「くそっ……どうしたらいいんだ……」
 俊司も自分自身がいたためにこうなっている事に気づいていた。それゆえに考える作戦も良いものではなく、精神的にかなり追い込まれていた。
「俊司君落ち着いて。まだ時間はあるわ」
「そうですよ! いざとなればこの射命丸文が突破口を切り開いて見せます!」
「とにかく、銃撃をとめることはできないのは事実よ。それ以外の方法を考えましょう」
 なにかないかと必死に考え始めるが一向に解決策が見当たらない。時間はただただ進んでいくばかり……。霊夢の気力も限界に達し始め、結界がどんどんと薄くなり始める。明らかな消耗戦。しかも敗北は目に見えている。その状況がさらに俊司たちをあせらせていった。
「どうしたら……」
 追い込まれすぎて逆にいらいらし始めた俊司は、頭をかきむしりながらブラザーの右ポケットに手を突っ込む。そして中にあったある物をつかんだ瞬間、彼はないかに気付いたように目を丸くした。
「これって……」
 ポケットから出てきたのは紫から渡された白紙のスペルカードだった。スペルカードにそれぞれ個々の必殺技を込めることができるなら、今この状況を切り抜ける方法があるかもしれない。俊司の思考がうなりをあげて動き始める。
「わかった!」
 答えが出た瞬間、俊司は喜びのあまり声をあげていた。
「なにかいい方法がみつかったんですか?」
「ああ、霊夢! 次幽々子さんの攻撃が始まったら結界を解いてくれ!」
 俊司の提案にその場にいた誰もが驚いていた。
「えっ!? でも……」
「いいから!」
「……わかった」
 霊夢は言われるがままにタイミングを計ろうとする。俊司もスペルカードに自分
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