暁 〜小説投稿サイト〜
現実世界は理不尽に満ちている!
第36話「地球にメッセージを」
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った。彼女は一つの資料を机に置いた。紙媒体の資料だ。NASA長官は資料に視線を落とした。
 
 「探りましたが、特定出来ておりません。いえ、特定出来ませんでした」
 
 特定が出来ない。となれば、答えは1つしかない。長官は資料に落としていた視線を彼女に向ける。
 
 「異星人、か」
 
 はい、彼女はゆっくりと頷いた。
 NASA長官は頭を抱えた。約半年前ガミラスが接触し、同盟国となった。しかしだ。接触がこれで終わりとは、考えていない。第二第三の異星人が接触して来るかもしれない。それは我が組織は勿論、地球連邦でも予測されていた。
 
 「それで、この事は伝えたのかね?」

 誰に、とは言っていない。しかし言っていなくとも彼女には分かった、その相手を。
 
 「はい、既に地球連邦には通達済みです。証拠も送りましたので、誤報ではないと認められました」
 
 喉の渇きを潤すために、机の上にあるコーヒーカップを手に取るNASA長官。つい先程入れた筈だと思っていたコーヒーであるが、湯気はもう姿を消していた。
 口に黒い液体を流し込むと、ほろ苦い味が口全体に広がる。
 
 「対応を間違えてはならない。地球連邦も、それは分かっているだろう」

 「はい、長官」

 「もし交渉を誤った時、我々人類が昔やった事と同じように、この星は植民地となってしまうかもしれない」
 
 かつて、大航海時代に先進国であったヨーロッパ諸国は、その圧倒的な軍事力を駆使し多くの国を植民地支配した。仮にその異星人がそういった思考をしているならば、問答無用でこの惑星での主権を奪われてしまうだろう。

 無論軍事力を駆使して支配に対抗はするが、勝つか負けるか、その時になってみないと分からない。宇宙戦艦ヤマトは海底ドックにて”整備”している関係上、出撃は無いだろう。頼りとなるのは、地球連邦防衛軍と地球連邦非加盟の各国艦隊。どちらも波動機関を搭載している。勿論、攻撃はしない。防御の構えを執るだけだ。

 我々人類は、対話での解決を目指すのみだ。
 
 「願わくば、明日を生きる子供達が平穏に過ごせますように」
 
 コーヒーを飲み干したNASA長官は、今後の未来安寧を願うのであった。
 

 そんなことがあってから、1時間が経過した頃。
 
 「長官、地球連邦より会議への参加が求められています」
 
 「うむ、会議はいつ始まるのかね」
 
 「長官が来られてから直ぐです。地球連邦初代大統領がお待ちになっています。表に輸送機を用意していますので、どうぞお乗りください」
 
 奥のドアから、SPが現れた。1人2人ではなく、5人以上のSP。NASA長官の周りを囲い、SPは退席を促してくる。

 「行こう」
 
 そして
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