第36話「地球にメッセージを」
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にしてもまさか、バナナの皮に転んで死ぬとは思わなかった。
「どうしたんだい、クロノア」
「どうしたんだい、ではありません!何で寝てるんですか!」
何と、私は寝ていたのか。すまないな、クロノア。でも寝たくて寝た訳じゃないんだ。目を閉じていたら寝てしまっただけなんだ。
「結局は寝てたでしょう!何を言っているのですか!」
そう謝罪したのだが、我が後輩クロノアはご立腹だ。怒るところも可愛い。可愛い顔して、クロノアは男なのだ。男の娘は実在していたのだ。結婚したい。
「これを見てください!」
私は、指さされた方向に視線を向ける。
「…WOW」
それを見た私は、間抜けな声を出してしまった。職員達は辺りを右往左往と走り回り、モニターを見つめる者達の額には汗が滲み出ている。また、どこからともなく通信が相次ぎ、対応に追われる。
まさに地獄絵図。宇宙人からメッセージを受け取ったかのようだ。実際そうなのだろう。
「手伝ってください!」
分かってる分かってる。私はそう返事し、仕事に向き合うのだった。NASA最高、と思いつつ。
〈NASA長官SIDE〉
NASA。
地球上のどの国と組織よりも早く宇宙艦隊を創設し、永らく宇宙に関する利権を独占していた。組織されて以来、二度目となる混沌に包まれていた。
職員達は辺りを右往左往と走り回り、ディスプレイを見つめる者達の額には汗が滲み出ている。また、どこからともなく通信が相次ぎ、対応に追われる。
その様子は、側から見たらまるで地獄絵図のようだ。
その光景を見つめていたNASAの長官を務めている黒人の壮年男性は、深い溜息を漏らした。なぜこうなってしまったのか、と。彼は物事に異変が生じ始めた今朝に、思考を巡らせる。
何も変わった事は、無かった筈だ。いつも通り朝のミーティングを開き、本日やるべきことを確認する。そして、それが終わると各自の仕事を始め、NASA長官も仕事に追われていた。
状況が変わったのはそれから二時間後。時計の針が真上に来ようとしている時だった。
「長官、大変です!」
長官室に、慌てた様子の女性職員が入ってくる。
NASA長官は何事かと思い詳細を尋ねると、メガネを掛けた女性職員は荒い息をゆっくりと整えてから言葉を紡ぐ。
「先ほど、宇宙から謎の電波信号をキャッチ致しました。内容は英語で発信されており、要約すると『こちらは、ブリリアンス国。我々は戦いを望んでいない。本邦は貴国と国交関係を結びたい』―――とのことです」
「その発信相手は誰か特定出来ているのか?」
目の前の女性職員はその言葉を聞き、一瞬だけ表情が暗くな
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