第36話「地球にメッセージを」
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〈スヴェートSIDE〉
拝啓 あの世に住む姉様へ。
お久しぶりです。お元気ですか?
私は今、とても楽しく過ごしております。
WOSというゲームの技術ごと現実世界に転移するという非現実的な出来事が発生しましたが、私はそのゲームの技術に助けられています。二度目となりますが、とても楽しく過ごしております。
なので、姉様も元気にあの世での生活を過ごしてくれる事を心から願っています。
……心を落ち着かせようと亡き姉への手紙を書いてみたが、なんか逆に緊張してきてしまった。今更だが、亡き姉に手紙を書く必要は無いな。後で処分しよう。
「ギルド長閣下」
「ん?」
「地球に対しては、何か一報を寄越したほうがよろしいかと思います。私も手伝いますので」
膨大な暇な時間をどう使おうか悩んでいた矢先、我が娘スラクルがこちらに顔を向けてくる。
……あっ、そんなのもあったなぁ。
すっかり忘れていたことを指摘された。私としたことが、気をつけなくては。
「あぁ、確かに一報を入れた方がいいな。そっちの方が、相手からの信頼も得やすいだろうし」
スヴェートはキャプテン・シートからゆっくりと腰を上げ、手に持っていた紅茶入りカップを給仕ドロイドに預ける。
スラクルから言われた通り、電報を書くということは凄く大事なことだ。
社会人でも報連相が必須。それと同じだ。
よくよく考えてみればそうだが、アポ無しで相手の家に凸ったら警戒されてしまうのも当然だ。出来る限り、穏便に済ませたい。
スヴェートの眼前に、投影ディスプレイとキーボードが展開される。
地球に送る一報を入力しようとキーボードに手をかけるが、その手は中々動かない。何を書けばいいんだろうか。出来る限り寄り添った形にしたいのだが、悩むなぁ。
何とか自身の脳を最大限活用して、電報作成に勤しむ。とりあえず、過去の先例を探してきてその真似をしてみる。するとそこそこの物が出来るが、何か違う。出来立ての電報データは削除する。
やってみると分かるのだが、こういう作る系の仕事というのはセンスが問われるのだ。書き終えてや削除するやを繰り返すこと9回。
「問題ないかと思います」
遂に、今回送る電報が完成した。最初は出来るか不安だったが、終わってみれば結構力作を作ることができた。決して天才的な物ではないだろうが、喜んで歓迎することだろう。楽しみだなぁ。
〈ある1人の地球人SIDE〉
西暦2201年。
滅亡に瀕していた地球は、復興の最中だ。あの頃が懐かしい。思い出してしまうが、せっかくだ。振り返ってみよう。
今より10年前、地球は地球外生命体ガミラスと接触。友好関係を結
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