第35話「地球へ行こう」
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スヴェートは部屋に入室した。入室したと同時に、ドアは自動で閉じられる。少し足を止めたが、直ぐに前へと進んでいく。
デスクの向かい側に行き、彼女は漆黒の背もたれ付き椅子に座る。
「……」
彼女は眼前にあるドーム状のプロジェクターを起動させ、口を開くことなく操作していく。無数の光点がホログラムとなって展開されている。星図だ。やがて、”見知った銀河”をズームした。
「……ははっ」
”見知った銀河”を注視しつつ、口元を緩めるスヴェート。時間が経つごとに、クールな表情も華が咲くような笑みへと変わった。
「天の川銀河」
遂に、遂に天の川銀河の星図を獲得した。スノウから提供されたとはいえ、この上なく嬉しい。天の川銀河から目を離し、彼女は引き出しから写真を取り出した。
その写真には、青い地球の姿があった。
「地球か」
故郷を注視していたギルド長は、華が咲くような笑みでそう呟いた。アルポ銀河から天の川銀河へのルート確立は、完了済みだ。行けるのだ。母なる地球に。
「そうと決まれば、と」
ドーム状のプロジェクターの左隣にある通信機器を操作したスヴェートは、宰相兼代理ギルド長の名前を表示させる。そして、意気揚々と発信ボタンを押した。発信ボタン―――通話ボタンを押した瞬間、その端末特有の光が生まれた。数度ほど瞬くように輝いた後、その光はホログラムとなり空中で像を結び、黒髪赤眼の女性を形作った。
「我が娘スラクルよ」
『だから何度も…はい、お呼びでしょうか、ギルド長閣下』
黒髪赤眼の女性、スラクル。
ホムンクルスである彼女は、ギルド長スヴェートにより作られた。容姿はスヴェートとよく似ているが、それはスヴェートの遺伝子を継いでいるからだ。
スラクルはスヴェートへ、微笑みを向けている。
「地球へ行きたい」
『……』
あれ、無言だ。ホログラム通信機の不調か?そんな訳はないだろう、ドロイドによるメンテナンスは怠っていない筈なのだが。スラクルは、体調でも悪いのだろうか。
『…国交を、結ぶのですね。承知しました、これより準備に取り掛かります。準備が出来次第、連絡を入れますので』
「よろしく頼む」
体調は、どうやら悪くないようだ。それなら何故、無言だったのだろう。まぁ、後で聞けばいいか。それにしてもよく分かったな、国交を結ぶ事を。やはり、我が娘だからか。スヴェートがそう思っていると、スラクルの表情は微笑みから一変させた。
『はい。準備が完了するまでの間ギルド長閣下は何もせず、ただ寝ててください。準備は私が!しますので!』
そこまで「準備は私が!しますので!」を強く言わなくとも、何でだろうとスヴェー
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