宇宙戦艦ヤマト2199編
第34話
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正対する人物へ声を掛ける。
「スノウ」
その人物は、スノウ。元地球人で、スヴェートと同じ女性。連邦なる組織に属している彼女は、常に黒い装甲服と黒ヘルメットに身を包みんでおり、肌を一切晒していない。そんな彼女だが…、
「…嫌われた、スヴェートに嫌われた……」
「元気を出してくれよ。というかな、私は嫌ってないのだが」
落ち込んでいた。凄い落ち込んでいた。
無論、経緯はある。スヴェートは帰還した後、スノウがテラスに居ると連絡を受けて向かったのがキッカケだ。テラスに到着した直後……抱きつかれたのだ。それはもう、名前を何度も呼びながら抱きつかれた。
「ほ、本当か…?」
本当本当、とスヴェートは頷いた。二度目となるが、それだけで嫌いにならない。彼女からすれば「抱きつかれてるなぁ」程度で、そこに負の感情は一切無い。まぁ突然、抱きつかれたのは流石に驚いた。
「よかった」
スノウは、ホっと安堵の息を漏らした。
残りの紅茶を飲み干しカップを小皿に置いたスヴェートは、遊戯でもしないかと提案する。元々、今日のティータイムでは1人でやろうとしていたのだが、スノウがいるとなれば、一緒にやったほうがもっと楽しめるというもの。
「別に構わないが、何をするんだ?」
「チェスだ」
チェス。それは二人で行う西洋のボードゲームで、マインドスポーツの一種。白・黒それぞれ6種類16個の駒を使って、敵のキングを追いつめるゲーム。2人で遊ぶゲームだが、1人でもやれないことはないことはない。ボッチ歴とこの手のボードゲームを極めた者であれば、1人でも遊ぶことは出来る。
「チェスか。よいだろう」
スノウは直ぐ頷いた。
好きなのだろう、とスヴェートはそう思う。チェスは姉も好きなボードゲームだ。亡き姉も、あの世でチェスをやっていることだろう。相手がいればだけど……失礼なのは承知だが、ちょっとだけ笑ってしまった。
「我が娘よ」
「だから名前で呼んで…ん、既にチェスの準備は出来ております。ドロイド、準備を」
我が娘と呼ばれた黒髪赤眼の女性は、アクラメータ級改〈スラクル〉の艦長代理だ。スヴェートが声を掛けると、直ぐ返事が帰ってきた。前半の言葉が聞こえなかったが、気にすることはないだろう。
2体のドロイドがテーブル上にある皿を片付けた後、チェス盤が置かれた。
「やろうか」
「あぁ、始めよう」
駒を配置した後、チェスが始まった。
いくつも策を練り、それを実行に移す。罠や誘いにも中々乗らない。時間制限のない無限にも思える試合。
次はどう来るのか。
どの駒を動かすのか。
自分に残っている駒は、どれか。
「「ふふっ…」」
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