第33話「決着と別れ」
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ムは最後の手段に打って出る。
「ひっ…」
火焔直撃砲の発射機まで突進するダガームは、砲撃担当の男を押し除けた。
「〈メガルーダ〉に死角なし!」
砲撃担当の男を押し除けた彼は、本体下部にあるレバーを引く。火焔直撃砲の本体をパージさせたのだ。
艦体下部にあった筒状の火焔直撃砲上部のバーニアが噴き、その反動で本体が下へと離れる。火焔直撃砲は〈メガルーダ〉から分離したが、幾つかのケーブルは繋がれたままだ。
「抹殺ッ!」
ダガームはレバーを引いた。火焔直撃砲の砲口ユニットが急速に回転しエネルギーが充填されたかと思えば、大きな炎が前方に向かって打ち出された。全てのケーブルを切断し、ロケットエンジンを作動させた宇宙船のように、火焔直撃砲の本体が縦方向に回転しながら〈ヤマト〉に迫る。
巨大な棍棒に変わった火焔直撃砲の本体は、直撃すれば〈ヤマト〉はタダでは済まないだろう。
「グハハハ!これは命中すること間違いなし!」
避けれるものなら、避けてみろ。無理だろうがな。ダガームは、勝ち誇った表情を浮かべながら〈ヤマト〉を注視する。
だが、だ。彼が浮かべているその表情は、直ぐ消えることになる。
火焔直撃砲の本体の回転に合わせるようにしながら〈ヤマト〉はその艦体を右斜めに傾けつつも右側へ回避し、接触を艦体側面で受け流すという、神がかりな操艦技術で危機を脱したのだ。
「なっ!よ、避けただと!?」
避けることは不可能だと思われていた火焔直撃砲の本体を、〈ヤマト〉は回避してみせた。ダガームは、ギリギリっと歯を食いしばった。
火焔直撃砲の本体を回避した〈ヤマト〉は速度を落とすことなく、〈メガルーダ〉の直ぐ後ろに位置した。瞬間、〈ヤマト〉艦首左舷から錨を引きながらアンカーが発射される。ロケットによって加速されたアンカー頭部は高速で飛翔すると、艦尾―――2つある後部ノズルの内の1つに命中すると同時に深く刺さる。
その衝撃は大きく、後ろへと引っぱられ転倒するガトランティス将兵がいた程だった。男達から悲鳴が沸きあがる。
「何事…!!」
ダガームのその言葉は周囲に問うたものでもあり、自分自身に問うたものであった。
〈ヤマト〉と〈メガルーダ〉は、まるで古代の剣闘士のようだった。互いが鎖で繋がれており、相手を倒すまで闘技場から離れることは許さない。しかも、だ。〈ヤマト〉は鎖を巻きとり始め、両艦の距離は次第に短くなっていく。
「狼狽えるな!艦首大砲塔で〈ヤマッテ〉を屠れ!」
射撃準備を行っていくガトランティス将兵。〈メガルーダ〉の前部甲板には、五連装大口径砲塔がある。いくら装甲が厚い〈ヤマト〉でも、この距離での砲撃を受けては無事で済む筈もない
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