暁 〜小説投稿サイト〜
現実世界は理不尽に満ちている!
第29話
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どの攻撃から1分すら経過していないというのに、連合艦隊は新たな重力変動を感知したのだ。

 今度は〈ヤマト〉より右翼に位置する部隊への着弾が濃厚と、攻撃予測データは導き出した。直ぐさま〈スラクル〉以下のブリリアンス部隊とゲルバデス級〈ミランガル〉以下のガミラス部隊が散開し、火焔直撃砲の直撃コースから退避する。

 「ボレアス級U型〈ボルコス〉、損傷ハ極メテ軽微。AC721重量級両用突撃艦U型〈スラス〉、損傷軽微」

 「予測できても、辛いところがあるか」

 火焔直撃砲の小エネルギー流の一つがボレアス級U型〈ボルコス〉を掠めており、〈ボルコス〉はその艦体の一部を熔解し、熔解した部分の塗装を剥離させていた。とはいえ、航行不能と戦闘不能になった訳ではなく、艦に支障はなかった。

 AC721重量級両用突撃艦U型〈スラス〉は損傷軽微なれど、〈ボルコス〉と同じく艦に支障はなかった。
 
 僚艦が損傷軽微により傷つく中、連合艦隊は速度を落とすことなく前進を続けた。

 「最大射程距離まで、残り1万」

 索敵士の報告により、間もなく砲雷撃戦可能な距離に近づこうとしている。少しして火焔直撃砲が襲い掛かるが、それも回避し事なきを得た。成功確率73%とはいえども、今のところは失敗もない。地球の攻撃予測データ完成度に、「流石、母なる地球」とスヴェートは感心していた。

 〈スラクル〉艦橋で、火焔直撃砲のエネルギー流が素通りしたのを観たスヴェートはガッツポーズした。

 「よっしゃー!行ける、行けるぞ!」

 このまま行けば、比較的無傷で敵主力艦隊と交戦が可能となる。今度はこちらが反撃する番だ、ガトランティス。母艦から発艦した合同航空隊は、順調に機動艦隊へと向かっている。道中、連合艦隊と敵主力艦隊の中間に当たるエリアで、敵艦載機編隊と接敵したとの知らせが入ったが、合同航空隊は優勢。

 さぁ、いよいよだ。双方の艦隊が交戦可能距離に差し迫ろうとした途端、予想外の変化が起きた。

 「スヴェート様、後方ノ惑星シャンブロウに異変ガ」

 「異変?…確かに異変だ」

 「これは…」

 スヴェートと艦長代理は訝し気な表情だったが、”異変”を観た2人の女性は目を見開いた。

 「…もう何も驚かないぞ」

 「…驚かなかったら目を見開いていないですよ、ギルド長閣下」

 「…全く以ってその通り」

 惑星表面が静かに崩れ、その内側からはまるで骨組みのような球体が現れていく。やがて、灰色の空間に惑星シャンブロウの本当の姿が現れた。

 「…これが、本当の姿か」

 その光景に、スヴェートと艦長代理は目を奪われたのだった。
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