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現実世界は理不尽に満ちている!
第25話前半「白銀の守護者」
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く声を出しそうになった。何故なら艦橋だったからだ。しかもその艦橋は、旧日本海軍最大の戦艦大和。

 全員が戦艦大和で戸惑っていると、外から銃声が響いた。銃声が聞こえた方向の扉から外へと飛び出し、私を先頭に階段を駆け上がった。

 左に防空指揮所があり、それを1人分程度の通路が囲む。通路の向こうはぷっつりと景色が切れ、そこが高所だと分かる。もし、足を踏み出せば命の保証は無い。

 そんな防空指揮所には、2人の男女が居た。ガミラス人のメルヒと地球人の桐生だ。大きな布袋を足元に置いているメルヒは桐生の首を後ろから左手で締め上げながら、拳銃の銃口を古代達に向けた。彼は彼女を人質としたのだ。

 そんなメルヒは、布袋に目をやりながら言い放ったのだ。「この食料は俺達のだ!新鮮な食料だ!ザルツ人が食う権利はない!」。彼の血走った目は、正常ではないことは誰の目から見ても明らかだろう。

 何度も「新鮮な食料だ!」と叫ぶ彼に、私は思わず目が点となってしまった。そんなものが腐らずあったというのが疑問だ。偽物の食料ではないのか。仮に本物だったとして、それは何処にあったのか不明だった。

 まぁ、その食料を見つけ持ってきた人物は分かった。唯一ラウンジに来なかった人物、ネレディアだ。メルヒと桐生の後ろに、彼女がゆらりと現れた。状況が状況だというのに、慌てる様子を一切見せていなかった。

 ネレディアは微笑んだ。その微笑み、どこか黒幕のそれなのだが。ネレディアは口を開いた。
 
 「バーガー、古代。貴方達も銃を持っているじゃない」

 言われた二人は腰に目を落とすとホルスターに正式拳銃があることに気づき、驚きのあまり体を引いてしまう。私も驚いたが、慣れた。驚きの慣れは諦めともいう。消えていた銃が復活したのか。多分、正式拳銃だろう。

 何故かバーガーは古代の正式拳銃を凝視していたが、首を横に振った。バーガーはこの状況の解決を優先したようだ。説得が始まる。

 「メルヒ!いい加減にしろ!全員で分ければいいだろ?俺達はザルツ人の戦闘食糧のおかげで助かったんだからよ」

 怒り狂ったメルヒは、桐生の頬に銃口を押しつけた。

 「少佐、目を覚めしてください。一等ガミラス臣民である俺達が、どうしてザルツ人なんかに食料を譲る必要があるんですか!」

 「それは…ッ、食料なんかじゃ…ッ」「うるせぇ!」

 お前が目を覚ませ、と内心ツッコミを入れた。口に出したかったが、言葉を慎むべきだろう。おのれメルヒめ、女性になんて事を。

 そういえば、桐生は足元にある食料を食料ではないと断じた。彼女が断言したのだ。布袋の中身は、食料ではないのだろう。…骸骨とかだったら、ドン引きする自信しかない。仮に中身が本当に骸骨であるなら、空腹状態とはいえ、メル
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