第24話「何故か一触即発なのだが」
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薄い灰色のガスに囲まれた宇宙空間に、円型のワープゲートが複数出現。直後そのワープゲートより、複数の艦艇が横回転しつつ現宙域にワープアウトした。
ワープアウトした艦隊の正体は―――ガトランティス艦隊だ。
―――ガトランティス艦隊旗艦〈メガルーダ〉。
強烈なピンクの光を放ちリングを持った不気味な惑星が1つ浮かんでいるのが、スクリーンに映し出されている。それを見つめるのは、グタバ方面軍大都督ダガームだ。しかしそんな惑星は彼にとって…否、ガトランティス帝国にとっては、単なる不気味な惑星ではなかった。
「グハハハッ、古より『静謐の星、薄鈍色の空に輝く』とある。これぞ僥倖!まさに天佑神助!【テロンの艦】を追うたお陰で、我、宝の星を見つけたり!」
ダガームの高らかに笑う声が、ブリッジに響いた。
大帝の意により探し求め続けてきた惑星を、遂に発見することが出来た。ダガームは己の幸運に感謝し、より一層笑みを深くした。
「……」
その様子を静かに見ている人物が、1人居た。その人物は副長を務める男―――メイス。彼は上司ダガームにバレぬよう、そっと溜息を吐いた。今更ながら、どうして【大帝】はあのような男をガトランティス帝国にお加えになられたのか…。
メイスは、ダガームがガトランティスに加わった経緯を追憶する。
ダガームはガトランティス軍でも珍しい、宙賊を出自とする男だ。宙族の頭目であった彼のその暴れん坊ぶりは名を馳せており、粗暴でありながらも他の追随を許さぬ戦果が、国家指導者───【大帝】の眼に留まった。
【大帝】の眼に留まった以降、ダガームは変わった。
性格は粗雑で短気、横暴が目立つなど人格者としては、何一つとして褒めるべき点が無い様に思われるダガーム。そんな彼であるが、何故か【大帝】に対してのみは厚い忠誠心を向けている。
【大帝】直参の戦士に抜粋され、忠誠心がより厚くなったダガーム。しかしメイスは、何故大帝がこの男を登用したのか不思議だった。
だが【大帝】の人材利用は適材適所ともいえるもので、ダガームが投入された戦線は必ず自軍を勝利に導き、勝利を勝ち取ったのも一度や二度ではない。人は見かけによらないのだ。
とはいえ、だ。
性格に難がありまくるダガームは、部下から嫌われている。特に帝星ガトランティスの丞相シファル・サーベラーはダガームを見下し、同時に毛嫌いしていた。サーベラーは女性で、しかも23歳と若い上に美貌の持ち主。それでいて、丞相である。
ダガームもまた、サーベラーを毛嫌いしており「大帝を誑かす小娘」と陰口を叩いていた。
「……」
追憶し終えたメイスは、今も高らかな声を上げているダガームに進言した。
「大都督、サーベラー
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