第23話「諦めたらそこで試合終了だろうが!ってイイよな」
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の空気は冷えた空気に満ちたラウンジへと変わっているような……沈黙が支配する空間とはこのことか。
「…さてっと、メルヒを連れ戻しに行くか」
「じゃあ、自分も」「大丈夫だ、古代。1人でいいさ」「そ、そうか」
バーガーは古代へ笑みを向けつつソファーから立ち上がり、この場を後にした。
バーガーの後ろ姿を見つめていたバーレンはピアノの前にある椅子に座り、ピアノを弾き始めた。上手いが、悲しい音色なのは何故だろう。過去が語れそうな感じなのだが。それにバーレン爺様よ、いきなりだなピアノ弾くの。
1分もしない内にソファーに座っていた古代はピアノに寄り掛かり、同じくソファーに座っていた沢村はボケ〜っと天井を見上げていた。相原は今もソファーに座っている。
そんな中バーレンは、絞り出すようにポツポツと声を発する。それと同時に 一人言のように、聞いて欲しいように、静かな声音で発しているバーレンへ、この場に集う全員が彼へと振り向いた。若干1名、内心にて戸惑いまくる白髪オッドアイの女性。
「―――フォムトには昔、メリアという恋人がおってな。メリアはネレディアの妹じゃ。あの頃は今と違い、フォムトは生真面目で礼儀正しい若者じゃった。フォムトはメリアとネレディアと、いつも一緒でな。だが3人が軍に入り、3人が乗っていた艦への砲撃後のダメージ・コントロールでメリアが死んでしまった。メリアが死んでから、フォムトは変わった。あと少しでメリアを助けられた筈が眼前で隔壁閉鎖が閉じられた所為で、倒れている彼女を助けられなかった事を。アイツはいつまでも引きずっておる。あの時、もっと早く行けば……いや、軍に一緒に入らなければ、とな。それから―――」
「(……………あ、はい)」
何だか、唐突にバーガーの過去を語り始めたバーレンに、スヴェートは内心つい間抜けな声で返事をしてしまった。
過去の秘部を明かすことある?!と、そういうのは…を何とか堪えた結果、出て来たのがこの間抜けな声だ。
いきなりバーガー語りをされても何と言うか、反応に困る。いや、確かに悲劇と言えば悲劇なのだろう。
だがいきなりそれを語られて心に響くかどうかは、全くの別問題だ。そもそも相手は異星人だし。自分と同じ地球人であれば心に響くことだろう。
とりあえずバーガーが可哀想な男だという事だけは理解した。理解したのだが、本人の同意なしに、過去の恥部を明かされるという。
私はなんと応えればよい?なんと可哀想な男だ、とでも応えればよいのか?
その後も続くバーガー語り。
終わるのはいつになるのやら、の想いで聞いているスヴェートであった。
一方、ラウンジから出たメルヒはどこへも持っていくことの出来ない想いを抱えながら、階段を駆け上がり
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