第22話「【テロンの戦艦ヤマッテ】を追う艦隊」、「出撃する艦隊」
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ードを抜こうとしたその時だった。
「本国より入電!【サーベラー】丞相閣下です!」
鉄仮面のようなヘルメットを被る通信士が、声高に叫んだ。ダガームはその場に止まり、三次元ホログロムが展開されるほうへと振り向き、姿勢を正した。
「(た、助かった)」
【空間航跡】をトレースしている航路担当は、そっと安堵の息を吐いた。
ダガームはその場に止まり、三次元ホログロムが展開されるほうへと振り向き、姿勢を正した直後、床の一部―――彼の目の前で揺らぎが生まれ、その中心に1人の女性がホログラムで現れた。
その女性は、【白銀のシファル・サーベラー】。
シファル・サーベラーは胸元からへそまで深いスリットが入った、ビーナスにも負けない整った体のラインがよく見える白いスーツに着込む。ダガームと同じく短剣を肩に掛け、切っ先を上へと向けていた。炎のような模様の入った薄く白いマントを纏う長身で美しい女性で、閣下と呼ばれるような地位の高い者とは思えない若さであった。
全てを見通すかのような切れ長の目は冷ややかで、相手を見下ろすことが自然に思える高貴さを持っている。輝くような長い銀髪を持ち、薄い緑の肌とつり上がった細い目は銀狐を彷彿させる風貌だ。
地球の年齢換算で23歳という若さで丞相という高い地位にあるサーベラーの出自は謎であり、一説によれば【大帝】の寵愛を受け帝国丞相に上りつめたのではと噂されている。
諸侯の頂点に君臨しているサーベラーだが、権力を振るわれるのが嫌だと彼女を嫌悪する者は少なくない。
しかし、だ。
丞相となった経緯が何であれ、政治面で【大帝】を補佐するには才能も必要だ。サーベラーは、その力を若くして持っている。
目の前に居る彼女に、ダガームは内心で嫌悪の色を隠さなかった。
「報告せよ、雷鳴の戦士よ」
サーベラーの澄み渡る声が、艦橋内に響く。
「それが、未だ【静謐の星】に関する情報は確証至らず」
「うつけ!」
「!?」
突然の怒鳴り声に驚いたのか、ダガームは思わず一歩後ずさってしまった。
「物見遊山が為に任せたのではないぞ、ダガームよ」
自分より20歳も下の白銀の美女に恥をかかされ、ダガームの肩はビクッと震えた。
「で、ですがサーベラー丞相閣下。それに代わる獲物を発見し、只今追跡しております。コチラを手に入れ【大帝】に献上させて頂けますれば、きっとお喜びになられるかと―――」
「黙りおろう、雷鳴の戦士ダガームよ」
上半身を傾けながら丁寧に説明するダガームの言葉は、サーベラーに一刀両断された。
「【大帝】は件の宝、【静謐の星】をこそ御所望ぞ。そなたは其処に眠る【アケーリアス】の技術――
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