第20話「スヴェート、夢を見る」
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いない筈だ。それが何故…。
警戒心を露わにするスヴェートを僅かに見つめた黒い女性は、ヘルメットの黒い双眸から僅かに覗く紫の瞳を彼女に向けた。
『私の名はスノウ。元地球人だ』
「ふぁ!?」
スヴェートは絶句したが、直ぐに力強い眼光で睨みつけた。よくもまぁ、そんな嘘を。己は決して振り乱すことなく、この女の嘘と本性を暴いてみせる――!
『宇宙人、信じてはいたが、まさか実在していたとは。その宇宙人に転生した私が言うのもなんだが』
「本物だ!魂が籠もったその言葉に嘘偽りがない!!」
『地球は青かった』
「同郷だ!!!」
即振り乱れた。
スヴェートは黒い女性を本部に招き、直接の話し合いをした。危険?疑え?そんなものは知らん。
なんでも元地球人の黒い女性スノウは統率機関―――連邦なる組織に属しているようで、それなりの地位に就いているようだ。
地球の所在は分かるかどうかを確認すると、スノウは分からないと首を横に振った。
話題を変え、転生する前は何をしていたのか、転生した経緯を黒い女性は語りだした。
どうやら彼女もWOSをやっていたらしく、初期の頃から妹と共にプレイしていたらしい。最も自分は仕事の関係で忙しく、家であまり妹と居ることはなかったが、妹はまるで太陽のように眩しく、彼女にとって生き甲斐だったそうだ。
スヴェートも、現実世界に転移する前に何をしていたのかを語った。
姉が居て、姉はいつも貴様・お前と常に上から目線だが、不器用ながらも優しく接してくれる姉が大好きだったこと。WOSを初期の頃からやっていて、サービス終了日に何故かWOS世界から現実世界に転移してしまったこと。
お互いに沢山、話を交わした。
「…お前にとって、姉とは何だ?」
スノウが去り際に、そうギルド長に問うた。質問の意味が分からかったが、スヴェートは首を傾げながらも笑みを浮かべ彼女に返答した。
「不器用ながらも優しく接してくれる、大好きな姉だ」
先程も言ったろう、と呆れながらツッコミを入れたスヴェート。
姉とは何だの質問の返答を聞いたスノウは「そうか」とだけ呟き、彼女は本部から立ち去った。
スヴェートが観る夢は、ここで終わった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
次の日の朝、スヴェートは与えられた部屋で目を覚ました。彼女はベッドから起き上がる。
「…夢、か」
スヴェートはベッドから離れ、シャワーを浴びに行くのであった。
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