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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
黒い未亡人は、背中を合わせる
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のぉ…っ!!」

押されている。
モレーが。
フォーリナーがなんだのキャスターは弱いだのと散々言っておきながらこのザマだ。

「!!」

そんな必死な彼女の頭上を飛び越え、あたしは身を捻って無防備な背中へと着地する。

「お留守だよッ!!」

続けてかます発勁。
サーヴァントに通用するかどうか、
そこが心配だったが

「ぐっ…げほっ…!!」

吹っ飛んだモレーは崩れた本の山に突っ込む。
すかさず起き上がるも、その口からは血が滴っていた。

「ムカつく…ムカつくムカつくムカつくムカつくムカつく…!!ああもうマジで許さない!!!」

苛立ち、八つ当たり気味に持っていた剣と盾を床に叩き付ける。

「お前ら全員だ…!ここにいる奴ら全員、必ず呪ッ殺してやる…!!」

歯ぎしりをし、いらだちを隠せておらず、モレーは魔力を迸らせた。

肌の色が浅黒く変わり、服が焼け落ち新しい装いへと変わる。
頭からは禍々しいツノが生え、十字軍総長の名を持つ彼女は魔女≠ヨと変貌した。
あれはおそらく、霊基再臨だ。

「フォーリナーなんだよあたしは。そんじょそこらのしょっぼい一般クラスとは格が違うワケ!」
「そのしょっぼい一般くらすに負けるあなたは、フォーリナーの顔に泥を塗っているのに気付きませんか?」
「……ッ!!」

舌打ち。
しかし香子は口撃を続ける

「フォーリナークラス。存じております。現にご友人の中におりますので。しかしそちらの方はあなたと違い随分と強かったような気がしたのですが……?」
地獄に落ちろ(Va au diable)…!!アバズレ女ァ!!!」

彼女の周囲に炎が灯る。
両手を振るうとそれらは香子めがけ一気に突っ込んできた。

「……。」

対する香子は、駆ける。
ガラスのペンを降るって数本を叩き落とし、さらには棒高跳びの要領で空中へと躍り出る。
かわされる炎、さらにそこからも身を捻って全てかわし、

「…!」

彼女の懐へ着地。
突き出されるガラスのペン。
土手っ腹にくらったモレーはそのまま吹っ飛んでいく。

「…!!」

背中に来る衝撃に備えた。
しかし、来ない。
それどころかなにか柔らかなものにぶつかり、痛みすら来ない。
なんだと思い振り返ろうとするも、

「…な、なに…これ…!!」

動けない。
それどころか指一本動かせない。
とりあえず視線をあちこちに向け、何が起きたのか確認してみると、

「蜘蛛の巣…!?」

モレーがぶつかったのは、巨大な蜘蛛の巣。
図書館には巨大蜘蛛が住んでいる?
それは違う。

「…!」

香子の足元を這う、複数の蜘蛛。
そう、蜘蛛の巣の正体は香子が使役した蜘蛛によるものだ
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